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組織改革は戦略の変更があったときに。完璧な組織構造などないという前提に立って考える

「組織改革」という言葉には、何やら「古い姿から新しい姿に変わる」とか、「現在の組織上の問題点を解決する」とかいった、未来に向けてのポジティブな印象を含んだイメージが漂うように感じてしまいます。

でも現実によくあるのが、トップが変わったときにやる組織改革です。

経営陣が新しくなるとどうも組織構造を変えたくなるようで、特に外に向かっての活動に大きな変更がないにも関わらず、自身の権限を誇示するかのように組織改革という名の、組織変更が頻繁に見受けられるようです。

私がかつて建材商社の社長を勤めていたときには、仕入れ先メーカーや商社における組織改革のお知らせというのを、毎年、何通もいただいていたものでした。

中には「またか」という企業もあり、組織改革が恒例行事化しているのではないかと疑いたくなる仕入れ先も何社かありました。

組織改革のついてドラッカーは『マネジメント』の中で、次のように述べています。

「戦略の変更なしに組織改革を行うことは間違いである」

「マネジメント 課題・責任・実践(中)」216p(ダイヤモンド社)

戦略とは何かというと、「われわれの事業は何か。何になるか。何であるべきか」という問いへの答えだということです。

これは有名な「ドラッカーの重要な5つの質問」の第1の質問です。

業績不振という理由だけで、戦略を見直す作業抜きでの頻繁な組織変更は混乱をもたらすだけです。

でもマネジメントは、組織改革や人事異動をすると、仕事をしている気になってしまうことがよくあります。

ドラッカーは組織に対する基本的な心得として、以下のように教えています。

「完璧な組織構造などありえない、せいぜいできることは、問題を起こさない組織をつくることである」

同 236p

完璧な組織図などというものはないのだから、次のような症状が見られたら悪い組織の症状だと思って、手を打つようにと教えています。

1.いつの間にかマネジメントの階層が増加している

ラインとスタッフなどという昔ながらの理論にいつまでもしがみついていると、階層ばかりが増えてくると言います。私の勤めた会社でも、12階層くらいあったと記憶しています。運よく4年ごとに昇進しても執行役員にたどりつくまでには40年かかってしまいます(笑)。

「このような事態を防ぐための治療が、天才児や後継候補を若いうちに見つけることである。しかしこの治療の副作用は、病気そのものよりも悪い」

同 237p

事実上、この手法は多くの企業で実践されているでしょうが、いろんな意味で大きな副作用があるということを認識しておかなければなりません。

階層は可能な限り少なくすべきです。

2.組織リーダーの注意を重要でない問題や的外れな問題に向けさせてしまう

本来、組織の構造は主要な人に重要な問題や基幹の活動に専念させるためのものでなければならないのに、縄張り争い・態度・礼儀・手続きに向けさせてはいませんか。

「美術館に飾る組織図などありえない。重要なのは組織図ではなく組織である。(中略)組織図のために組織構造の改革に手をつけてはならない。必ずや間違った組織をつくり上げる」

同 239p

成果を生むためではなく、組織図としての形をきれいに整えようとするとこういうことが起きるものだと指摘しています。

3.大勢を招集する会議を開かざるを得ないとき

マネジメントの多くが、自らの時間の4分の1を会議に使うようでは、組織構造が悪いと言わざるを得ません。

「人の感情や好き嫌いに気を遣う組織は、人間関係の良い組織とは言えない。(中略)このような症状をもつ組織は、大体が人員過剰となっている。(中略)人の気持ちを傷つけ、ぶつかり合い、足を踏むのは混んでいるからである」

同 241p

この人員過剰の中には、ベテランだから外せないとか、この仕事はこの人のものだから、とか、仕事の設計と人員の配置が主客転倒しているケースもあるはずです。

その他にも、調整役や補佐役みたいな人を必要とする組織も組織の慢性病の一つかもしれません。

そういえば、各取締役の意見調整をし取締役会の準備と根回しをする「企画室」のような部署があるのは日本だけだと聞いたことがあります。

ドラッカーは、組織図に正解はないと言っていますが、考える要素として活動分析・貢献分析・決定分析・関係分析を行ってから、最適と思われる組織の構造を考えるべきだと教えています。

組織についてドラッカーは「マネジメント(中)」において、120p近くの紙片を割いて説明しています。

詳しくはそちらを読んでみてください。
少し長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。

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