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「予期せぬ失敗」の時には、トップが現場に出る

ここ3回ばかり、イノベーションを見つけるチャンスの第1歩として「予期せぬ出来事に注意を向けよ」というドラッカーの教えから、「予期せぬ成功」についてお伝えしましたが、今日は「予期せぬ失敗」についてです。

「予期せぬ失敗」は「予期せぬ成功」と違って、見過ごされたり取り上げられるのを拒否されたりはせず、むしろこれ見よがしに糾弾されたりすることすらあるかもしれません。

小さな成功は無視されるのに、小さな失敗はこれでもかとやり込められる。

でも、それが新しいチャンスの兆候かも知れないと受け止められることはほとんどないと言ってもいいと思います。

ほとんどの「予期せぬ失敗」は、計画や実行段階における単なる過失だったり、欲張りすぎ、間抜け、相手の言いなり、無能などの結果といえます。

でも、慎重に計画し、実施したもので、前回まではいつもうまくいっていたのに、今回に限って失敗したときには、失敗そのものがなんらかの「変化」による、新たなチャンスを教えてくれこともあります。

製品やサービスの設計、顧客の価値観や認識など、マーケティングの前提となっていたものが変わったのかも知れません。

今までと同じことをやっていたのに、なぜか違った結果になる、それらの変化はすべてイノベーションのチャンスです。

多くの企業、特に大企業のトップたちは、予期せぬ失敗に直面すると、なぜ失敗したのかについて一層の検討と分析を指示します。

ですがドラッカーは、それは間違った反応の仕方だと指摘しています。

予期せぬ失敗が要求することは、トップマネジメント自身が外に出て、よく見、よく聞くことである。予期せぬ失敗は、常にイノベーションの機会の兆候として捉えなければならない。トップ自らが真剣に受け止めなければならない

『イノベーションと企業家精神』36p

「予期せぬ成功」を探求するためには、報告のあり方を変える、つまり月次会議のテーマそのものを変えてみるという提案をしましたが、「予期せぬ失敗」に遭遇したときには、トップ自らが現場に行って、自分の目で見て、自分の耳で聞かなければならない、と教えています。

その前に、そもそも小さな失敗がトップの耳に入る仕組み作りが必要ですが。

今日は短いですがここまでです。

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