ドラッカーの『経営者の条件』はタイトルに惑わされてはいけない、組織の成果に責任を負う人は誰もが読むべき教科書だ
ドラッカーは1966年に、成果を上げるために自らマネジメントする方法について書いた『経営者の条件』という本を出版しました。
ざっとあらすじを言うと、
☑ エグゼクティブは成果を上げなければならない
☑ 成果を上げることは天賦の才能ではなく、成果を上げるための5つの習
慣を身につければいい
☑ しかるに、エグゼクティブを取り巻く現実は、成果を上げることを妨げ
ようとする圧力ばかりだ
☑ だから、特別に努力して、5つの習慣を7才の子供が「ろくろくさんじゅ
うろく」を諳んじて言えるようになるのと同じように、身につくまで練
習を反復しなければならない
☑ 5つの習慣とは
1.時間を管理する
2.貢献に焦点を合わせる
3.強みを基盤に据える
4.優先順位を決めてそれに集中する
5.成果を上げるような意思決定をする
では、ここでドラッカーが言う「エグゼクティブ」とは、いったい誰のことでしょうか?
この本のタイトルが「経営者の・・」となっているために、経営者が読むべき本だと誤って解釈されることがありますが、ドラッカーは明確に「エグゼクティブ」を説明しています。
それは、「企業全体に対して、自らの率いる部門がなすべき貢献について責任をもつ者」
簡潔に言い換えるならば、「組織の成果に責任を負うもの」だと言っています。
そしてそれは、他人を管理しているかどうかや、部下の数とは関係はなく、成果を上げることを期待され、責任を負っているものはすべてエグゼクティブだと教えています。
ここで掲げた仕事を行うものは全員がエグゼクティブで、その及ぼす範囲やスコープの違いが肩書や地位の違いなだけだということです。
どんなに小さな組織の係長でも、プランを立て部下の役割を決め、部署間の調整をおこない、メンバーを元気づけ、評価をしたりしています。
それが社長になれば、全社の経営計画を立て、組織をつくり、部門間の統合や調整を行い、社員のモチベーションを気にかけ、成果を評価するわけで、やっていることは同じで、スコープが違うだけであるのは間違いありません。
またこれは、いわゆる専門職のひとり親方についても同じことが言えます。
一人だからと言って、プランを立てず、他の組織メンバーとの調整もせず、自らと他部署のメンバーの動機づけを意識せず、成果の測定もしない人はいないはずです。
つまり、組織や会社の成果に貢献することに責任をもつ人は、誰もがエグゼクティブだということです。
「経営者の条件」の原題のタイトルは「The Effective Executive」ですから、組織の成果にコミットしているすべての人が対象であって、日本語訳の「経営者の・・」が、本を手に取る段階で大きな誤解を生んでいるとも言えます。
組織の成果に責任を負っている方には、是非読んでいただきたい本だと思っています。
もし、ちょっと敷居が高いかも、とお感じの方にはこの本もお薦めします。