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中小企業こそ外部の意見を聞くために、社外取締役をおくべきだというドラッカーの教え
ドラッカーは1954年に『現代の経営』という本を出版し、そこで初めて「マネジメント」という概念を披露し、そこを起点に「マネジメントはドラッカーの発明である」と言われるようになりました。
1954年と言えば昭和29年のこと、日本では初のプロレス中継が行われ、街頭テレビで力道山やシャープ兄弟に人々の人気が集中していたころです。
この本は私の「座右の書」でもあり、上下巻とも赤線や書き込みでクタクタになっていますが、今でも色褪せない古典ですので、是非皆さんにも一読をお薦めいたします。
この本の第18章に「小企業、大企業、成長企業」という解説があり、その中に「中小企業が抱える問題」という節があります。
今日はその、中小企業におけるマネジメントについてです。
ドラッカーは、中小企業は規模が小さすぎて必要なマネジメントをもつことができない代わりに、トップは巨大企業のトップに比べて一人何役もこなす多芸である必要があり、同時に有能であることを求められると言っています。
確かにその通りですね。
しかしながら規模の小ささゆえに、どうしても視界が狭くなり外部との接触が少ないというハンディを背負っています。
それゆえ、事業の成否を左右するような社会的変化に気づかないことが多く、本来のマネジメントの必要性を理解できずに、本能に従って勘による経営に陥りがちだと指摘しています。
その解決方法としては、合併か買収によって、無理やり事業規模を拡大する方法があるけれども、それ以外に次の点を挙げています。
「マネジメントの視野を広げるために、気に入らないかも知れないが外部の視点を導入することである」
ドラッカーは、特に中小企業においては社外取締役の必要性を説いています。
現在では、社外取締役は多くの大企業で取り入れられているようですが、お叱りを承知の上で言えば、私は失礼ながら実態としては多くの場合、「対外的な体裁を取り繕っている」ケースが大半ではないかと見ています。
そうではなく、経営の視野をひろげ、勘に頼るトップの独善に陥らないために、中小企業こそ社外取締役が必要だというドラッカーの主張には私も大賛成です。
そして中小企業において最も重要な原則は、日々の仕事に追われて、計画したり、分析したり、考えたりする時間をおろそかにしないようにしなさいと教えています。
先ほども述べたように、中小企業のトップは多芸で多忙ですから。
そのために中小企業のトップは、年に1週間は、計画や反省のための会議に時間を割く必要があります。
「しかも、そのような会議は社外で開き、マネジメントの上層部が全員参加することが必要である」
会議では、次の5年間における必要な活動領域にフォーカスし、各領域で目標を設定し、過去1年の成果を評価し、それぞれだれが責任を持つかを決めなさいと説いています。
2019年に、当時はライザップの会長で、それ以前はカルビーの社長だった松本晃さんの講演を聞き、松本さんがカルビー時代にマネージャーと若手有望株を集めて、毎年軽井沢で1週間「夢を語る会」をやっていたと聞きました。
私は興味を持って、後日松本さんにメールを送り、夢を語る会の開催概要を教えて欲しいとお伝えしたところ、快く受けていただき、電話で10分ほどお話ししました。
「経営者には年に1回は現場を離れて考える時間が必要だし、次世代の若者には経営者と語り合う時間が最も育成になる。すべてうまくいくとは限りませんが、すべて失敗することもないから、やってみてはいかがですか」
こう言っていただいた翌年に、コロナになり実現できずに終えたことが今でも残念でなりません。
中小企業こそ、役員会を社内の人だけでかためずに、社外から違う視点の持ち主を入れること。
そして年に1回、1週間ほど、計画を考える時間をマネージャーたちと共有する。
実践してみてはいかがでしょうか。
「現代の経営」の原題は「The Practice of Management」、「経営の実践」ですから。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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