知識とスキルの向上は、日々の仕事の中に組み込んでおかなければならない
「チームのメンバーに責任感が育たない」
この悩みは、私がコーチングの仕事をしていく中で最も多いマネージャーの悩みのひとつです。
ドラッカーは『マネジメント(上)』(ダイヤモンド社)の中で、人々に仕事への責任を負い、責任に応じてもらうために、マネジメントがなすべき責任は何かについて、こう言っています。
働く人々が責任を負って仕事をするために、マネジメントがなすべきことがこの3つだということです。
今日はこの中の(3)継続学習についてです。
マネジメント自身の学習です。
継続学習とは、年に1回実施されるようなスキルのトレーニングとは違い(これももちろん必要)、仕事の中に組み込んでおかなければならない学習のことです。
よく、木こりの例や料理人の例が挙げられます。
働き者の木こりがいたとします。
彼は来る日も来る日も木を伐り、休みなく働いていました。
ある日そこを通りかかった友人が、木こりが使っているノコギリの刃が丸くなっていたのを見てこう言いました。
『ノコギリの刃を研ぐべきだ』
すると木こりはこう答えました。
『わかっているけど、忙しくてやっている暇なんかない』
木こりにとってのノコギリは、仕事をする能力です。
その能力を高めることに対して、忙しくてやっていられないという。
料理人を見てください。
優秀な料理人は、必ず毎日の仕事終わりに包丁を研いで仕事を終えます。
時間があったらやろうなどとは言いません。
包丁を研ぐことは仕事の一部だからです。
こうした能力アップや陳腐化防止のための学習や自己啓発を、マネジメントは仕事の中に組み込んでおかなければなりません。
「忙しくてやっている暇はない、時間があったらやる」と言って先延ばしにしていては、日々の能力も落ちてくるし、働く人々の責任も失われていきます。
ドラッカーはこうして能力アップのための学習を、いつも仕事の中に組み込んでおけば、イノベーションに対する抵抗もなくすことができると教えています。
この話しはどこかで聞いたことがあると思われた方は、きっと「7つの習慣」の中の第7の習慣「刃を研ぐ」を思い出されたのではないでしょうか。
「7つの習慣」には第3の習慣として「重要事項を優先する」という話しがありますが、ほぼ全編にわたってドラッカーの教えから成り立っているように感じます。
みなさんはどんな継続学習を仕事の中に組み込みますか?
忙しくてやっている暇はない、という方は、継続学習が組み込まれていないから忙しいのかも知れません。
つねに刃を研いでおかないと、放っておくとすぐに錆び付いて、あなたと部下たちの能力が低下しています。
考えてみたいものです。
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