暴力を振るった時に頭の中で起きたこと

下記の曲は章のBGMに選びました
(Scars To Your Beautiful(あなたの美しい傷あと) /アレッシア・カーラ)
https://music.youtube.com/watch?v=Dcva-RsC73o&si=zskov6WEZHdnJ6Y5

きょうも悪夢で目覚める。ここ数日似たような悪夢を毎日見る。
ずっと昔の元彼女が出て来て、浮気しているのを見つけて、オレが怒っていて暴力を振るう…という夢だ。

夢からさめた瞬間、大きくホッとする。
つい一瞬ほど前の夢の中では、それが現実なのだ。夢の中で実際に起きていた事なのだ。本気でたまったものじゃない。

それが続いているという事は、メッセージがあるという事だ。オレの魂が何か企んでいる。

おそらく、オレが奥さんに振るった〈暴力〉に関係がある。
オレの中のそういう所と関係がある。

考える。

夢を見ている時、なにを感じたか?
多分すごく嫌な気持ちだ。怒っているのがスゴくイヤだ。
怒りはイヤな気持ちだ。
オレは怒りたくないのに怒ってしまう。
率先して自ら怒ってしまう。

理由は?相手のした事に怒っている。
浮気をした事に怒っている。浮気は悪いことだ。

でもオレは大学の頃から浮気は当たり前だった。いつもバレて、結果相手に別の相手が出来てズルズルで別れるのだ。

さっき「浮気は悪いことだ」と言った。
自分がする時はいい事にする。

〈浮気〉は〈良い事〉にしても〈悪い事〉にしてもよいモノなのか?
多分〈どっちでもよいモノ〉だ。

じゃあどうすれば怒らなくて済むようになるんだ?

なぜ浮気をされるとオレは怒るんだ?

オレだけのモノなのに、大切なモノを汚された気がするからだ。
元彼女を汚しているのは彼女の相手と彼女自身までもだ。

オレは彼女で、彼女はオレだ。そういう距離感だった。
だから自分が汚された気になるのかも知れない。

では、オレにとってSEXは汚れたモノなのか?
いや、SEXは命を育む神聖な行為だ。それはわかっている。
でも〈汚す〉という感覚も同時にある。
それは相手を自分の色に染めるような感覚に近いモノだ。
互いに汚れあう感覚だ。特別な2人だけの秘密の愛し方を共有する感覚だ。

そうだ。自分だけの特別な大切なモノは、実はそもそも自分だけのモノではなく、さらにモノでさえない。全くの別ものなのだ。

だが、どうしてもその行為は特別なものに思えてしまい、かけがえのないものだと思えてしまう。
その相手だけから手に入れられる、かけがえのない感情。

「愛」か。

浮気をされるという事は「愛」を失うという事で、「愛される資格」がないという事で、「自分は特別じゃない」という事で、「そんな自分をオレは許せない」という事で、喪失感や落胆を感じながら「自信(誇りやプライド)を失う」という事だ。

その〈自信〉は〈自分を肯定するもの〉で、〈オレの生きる意味〉からは近い所にある感情で
もしも失ったら〈生きる意味が無くなる〉もので
〈自殺〉から近い所にある感情だ。

そして、それらの〈愛を失い自信を失い、生きてはいけない〉事と、〈SEX〉は、【本能】ほんのうの近くにある。
もうそれは感情と呼べない深さのものだ。
感情の基礎になる所だ。

その心の深い所でものすごい〈アラート〉が鳴る。
「ビービービービービービービービー」と永遠に警報が続く。

「絶対にナントカシナケレバならない!」

そして夢の中、オレは手を振り上げた。相手は当時の彼女たちだ。

おそらく、現実世界でオレが奥さんに振るった暴力もそういう事だと思う。

奥さんが浮気をした訳ではないが、オレは奥さんの発した言動を見聞きして確信させられた。
「オレの最も大切な〈奥さんの愛〉を失ってしまった。」という事だ。
「〈奥さんの愛〉を奪ったのはお前だ!」と奥さんに向かう。

本能の近くで(死ぬしかなくなる)というアラートが鳴る。
奥さんと子供たちは、〈オレの生きる理由〉の大半を占めている存在だ。

「絶対にナントカシナケレバならない!」

そして現実世界で2年前、オレは手を振り上げた。相手は当時の奥さんだ。

オレは手を振り上げた。オレが失った奥さんの愛は、オレの本能にアラートを出させる程の価値のあるものだった。

その愛は〈絶対になくてはならないもの〉だった。
その〈愛〉を持っているのは奥さんだ。
彼女を愛すれば愛するほど、彼女の愛が必要になり、彼女の愛が必要になり、彼女の愛が必要になる。

しかし、オレは彼女の言動で〈愛が失われた〉事を知る。
彼女がそんな事を言うなんて信じたくない。
絶対に否定しなければならない。言葉で言っても通じない。
もう暴力しか無いのか。

暴力を振るうと全てが壊れる。それだけはいけない。そんな男では〈愛を受け取る資格〉さえ失う。

いやまて、その〈受け取るはずの愛〉はもう既に失われているんだ。

絶望する。
(いや、もしかしたら失われていないのか?)
いちるの望みを抱いて奥さんに言葉をかける。
最大限の怒りを込めて。
重大な事だと分からせるために。
オレの生死に関わる大事な〈奥さんの愛〉についての事なのだ。
その重さの分だけ乱暴に怒鳴り散らす。
(本当にオレは愛を失ったのか?)と同義の罵声を浴びせる
そしてまた奥さんの言葉を聞いて絶望する。

ついにオレは、いちるの望みを抱く事をあきらめて、
何度も味わう絶望に耐えられなくなり、全ては壊れてしまったんだと言う事を決定する為に

絶望しながら奥さんに手をあげた。
くしくも〈愛を失う〉にふさわしい行動を取っていた。

奥さんへの愛は、ネガティブな思考の大きなエネルギーの流れに乗って、いつの間にか暴力に変わった。

暴力というエネルギーは、愛で出来ていた。

愛というものの中には、〈暴力〉という行為もあったという事だ。

そして、暴力があったから関係が終わったのではない。
暴力があった少し前に、関係は終わっていた。

今さら自分のやってしまった行為をよく見せようなんて思ってはいないんだ。
オレの中に(暴力)があったのは紛れもない。

ただ最近ようやく、自分を否定する事に疲れた事は認める。
一年近く、拷問のように自分を罰したのでソロソロ許してもいいかと思っているだけだ。
1日10キロ近く走り、500キロカロリーを消費して、年間3650キロ走った。北海道の先から沖縄までは余裕で走った計算だ。そして、ようやく許してもいいかと思える。

奥さんの心の傷を思えば、気が引けるが、コレがオレの正義感の限界なのだ。しかたがない。

だが、こうも思う。

この暴力を振るうという出来事は、〈魂同士で約束した〉たぐいの出来事だったという事だ。
魂は良くも悪くも俺たちに〈気づき〉をしいる。
スピリチュアル好きの人も〈生きる意味〉を〈気づき〉だと言う。
だからオレは〈オレの中に暴力がある事〉に気がついて、解析して、それを受け入れた。
それは脳みその〈気づき済み〉のラックに保管する。そうすれば、もう自分の暴力に気づく必要がなくなるので、二度と起きないのではないかと思えるからだ。

奥さんもきっと「絶対に忘れられない出来事」として、それをトラウマのように頭に刻み、何か必要な事を気づくのだろう。

魂同士の約束とはそういうモノだからだ。

こうしてオレの奥さんは、完璧な鏡として、オレの中の〈とても醜い愛のカタチ〉を見事に浮き彫りにし、写し出した。

そして、自分が選び愛した女性をオレは〈本当の意味で憎んではいなかった〉事に、とてもホッとしている。
怒りが、愛だった事に何故だかとてもホッとしている。
自分の醜さが和らいでいくような感覚を覚える。
コレが〈気づきの効果〉なのだろう。以前より自分が許せるようになった気がする。

失ったものに対して、だいぶ高い授業料になった気がするが、その〈気づき〉はそれくらいの価値のあるものなのだと信じたい。

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