頑張れないこと、自分を傷つけること
夏休みになってむしろ忙しくなった。毎日実験やその準備をしている。それ自体は楽しい。ちょっと面倒なこともあるけれど。
でも疲れる。そうすると眠れなくなって、昼夜逆転して、情緒不安定になって、泣いたり自分を傷つけたりする。
頑張れない自分が嫌だ。頑張らないようにね、と言われる自分が嫌だ。だってやりたいことは沢山あるのに。楽しいことだって沢山あるのに。それなのに、それをやっちゃいけないなんて。それを出来ないなんて。
病気のせいなのかな。それなら病気が憎い。病気にした両親が憎い。あのとき助けてくれなかったみんなが憎い。
それともただ僕が貧弱なだけで、怠け者なだけなのだろうか。それなら自分が憎い。自分だけが憎い。だから自分を傷つける。自傷行為をする人は、助けを求めていたり辛い思いをしたりしている人らしい。だから自分を傷つけて、僕は辛いんだと自分で確かめる。自分では本当に自分が傷ついているのか分からないから。
夜の時間が怖い。もう薬を飲んでも眠れなくなってしまった。ほんとうはいけないけれど、抗不安薬を2倍か3倍か、そのくらい飲む。それでも眠れない。その間溢れる感情に耐えられない。
だからわざわざ起きて自分を傷つける。出来るだけ深い傷。出来るだけ後に残る傷を。
溢れ出る血を見て安心する。僕は罰を受けた。僕は辛いと思うことを赦された。良かった。その場しのぎの安心だけれど、それでようやく眠ることが出来る。
朝起きて、まだ血が滲んでいるのを見て安心する。まだ辛いと思っていいのかもしれない、と。傷は穴が空いていて、まるで僕の心みたいだ。
でも体はせっせと自分の仕事をするから、いつか傷は塞がってしまうだろう。その時に傷跡が残っていたらいい。そしたら少しは安心できるかもしれない。
昼間は当たり前に元気です、という顔をして、楽しくお喋りして、空いた時間には本を読んで、充実した時間を過ごしている。それなのに夜の闇は僕を傷つける。
このまま、少しずつ、僕は自分を傷つけるのが上手くなって、そしてとうとう最後のひと突きに成功するのだ、きっと。