季節の行事とか、思い出とも言えぬ小さなもの
今日は節分だ。言われて初めてそうだったと思い出した。豆を投げて、最近では恵方巻きなんかも食べたりする。
母はそういう季節の行事が好きだった。ひな祭りにひな人形を飾ったり菱餅を買ってくれたり、一緒にクリスマスツリーを飾りつけたり。ふたりだけで過ごす行事は楽しかった。
父はたぶん、行事なんて嫌いだったのだと思う。だからわたしは七五三も十三祝いもやっていない。自分でやらなくていい、と言った。父がやりたくなさそうにしているのに、やりたいなんて言ったら面倒な一日が訪れるのは分かりきっていたから。
節分、といえば父親が鬼役をやってくれるお家もあるのだろう。身近にも何人もいた。実家ではありえないことだった。わざわざ父親に何かさせるとその後が恐ろしい。必ず不機嫌になるから。その被害は結構大きい。
それなのにわたしの大学の入学式や卒業式には行きたがった。みんなに自慢できる大学に入ったからだろう。
なんだか、やっぱりうちは少なくとも、子どもが過ごしやすい家ではなかったんだなあ、と思った。周りには親をやっているひと達がいる。こんなひとがお父さんだったら、人生全然違ってただろうなと思う。病気にだってならなかったかもしれない。分かんないけど。
少しでいいから、そんなおうちで過ごしてみたい。いや、逆に自分の家との違いに傷つくだけだろうし、やっぱりいいや。
いいなあ、家庭を持つのが幸せと思えるひとは。いいなあ、早く帰りたいと思える実家があるひとは。いいなあ、子どもが欲しいと思える人生を送ってきたひとは。いいなあ、全部手に入らないものばかり、ないものねだり。