医者に複雑性PTSDだと言われた話
今の精神科クリニックに通って2年半ほどになる。何度か記事に書いていたが、徐々に主治医への信頼感がなくなっていたので、転院を検討している。
しかし、転院するにしても紹介状を書いてもらわなければいけない。それでもう少しは通おうと思い、その前に聞きたいことを色々聞いておくことにした。
その中の一つ、そして最大のものが、「今はうつ病と診断されているが、複雑性PTSDの方が実態に即しているのではないか?」ということだ。これは結構前から考えてはいたのだが、主治医に言い出すことができていなかった。素人のくせにインターネットで得た付け焼き刃の知識で言われても困るというようなことを言われたら嫌だな、と思っていたからだ。しかし、もしそれを言われたらもう黙って転院しようと考え、意を決して訊ねてみた。
その答えは、「前からそう思っていたよ」というものだった。否定されなくてよかったと思うと同時に、は?ならもっと早く言えよとも思った。それとなく、うつ病とは治療法などが違いますよね、というようなことを言うと、「CPTSDは全然知られていないから、診断付けたところで……」といった返事だった。
確かに、学校などで出す書類には、わたしが不利にならないようにうつ病と書くというのは分かる。複雑性PTSDよりは知られた病名であり、症状自体は似ているから、そう伝えようと考えるのはそれなりに合理的だ。しかし、わたし自身に対してはそうではないだろう。それこそ治療方針が変わるはずだからだ。もちろん、精神疾患の治療に当たって、様々な事情を考慮して本人に正式な診断名を伝えないということがあるのは知っている。しかし、わたしの場合伝えないメリットより明らかにデメリットの方が大きい。インフォームドコンセントの考えにも反する。わたしは適切に情報を知らされないまま治療をされていたということになるからだ。
これまで、心理士の方などに話をする時も、うつ病と言われていると伝えていた。薬に関しても、うつ病の治療だということで、SSRIやベンゾジアゾピン系のものを飲んでいた。薬に関しても、「SSRIは正直効かないと思う。不安に対しては有効かもしれないけれど」と言われた。うつに効いているのかな、と思ってこちらは飲み続けていたのだから、あまりにも不正確な話だと思った。それに、ベンゾ系に関しても急性の症状にはいいかもしれないが、この2年半漫然と処方され続けていた。副作用や依存に関してはあまり考えていないように思えた。
治療法については、トラウマが学会で話されるようになって30年ほどだし、まだほとんど知られていないから、自分で勉強してみてねと言われた。言われなくても勉強はするが、しかし、あまりにも無責任だと思った。複雑性PTSDも、今ではICDにも載っている疾患名である。その治療を患者任せにする、というのは、医師の仕事しません、ということになりはしないだろうか。仕方がないので、トラウマ治療を出来る心理士を知らないかと尋ねたら、「ほとんどいないんだよ。いても今いる人で手一杯だから。でも探しとけってことね。分かりました」と言われた。トラウマ専門の人が少ないのも知っているし、探してくれるのはありがたいけれど、言い方というものがあるだろうと思った。
今もとりあえず病院に通っているのは、眠剤と診断書のためだ。根本的な治療にはならない、と思っている。言われた通り、言われなくても、自分で勉強している。たぶんこの医師より複雑性PTSDについては詳しいだろう。
調べたことや体験をnoteに書きたい、と思うのは自分のためではあるけれど、同時に同じような経験をしている人は他にもいるんじゃないかと思うのもある。やはり精神疾患の診断は難しいし、何が適切な治療かというのもわかりづらい。それに甘んじて、投げやりな診断や治療をする医師はそれなりにいるのではないかと不安だ。杞憂であればいいけれど。
少しずつ他の病院を探している。しかし、複雑性PTSDと認めてくれただけでもマシな医者なのではないか、とも疑っている。複雑性PTSDなんてなるわけない、みたいに言ってくる医者が大半かもしれないとも思う。それくらい医療者を信じられなくなっている。しかし、自分のためにはリスクを冒して勇気を出して、良さそうな方へ進むしかないのだろう。