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【型式認定】パンク修理ですら断られる!?安価な電動アシスト自転車の闇は深い■2023年05月27日更新

広島県広島市にある『動く』自転車屋【サイクルサービストグト】のnoteをご覧いただきありがとうございます。

遠方の出張修理も大歓迎な『快適長持ち系自転車安全整備士』ノーリー(店長)です。

■業界内ではよくあること

さて、今回はインターネットで電動アシスト自転車を購入したユーザーさんからご依頼を受けたお話です。
ユーザーさん自身が認識しているお困り事は後輪のパンクで、それ自体はよくあります。
(パンクなんてあってほしくはないんですけどね)
それで、近所の自転車店を何件か訪れてみたものの、『他店で購入した自転車でも修理歓迎』と謳う自転車店からも修理を断られたそうです。
自転車業界では保証の観点や収益効率の観点等から、『他店で買った自転車は診ません』というのが一般的です。
極端な例えになりますが、ローソンで購入したコンビニ弁当をファミリーマートに持って行って、レジで店員さんに
「この弁当を温めて下さい」
と言うとしましょう。
それで、
「良いですよ。
うちの電子レンジを使って下さい。」
なんて言われるわけがありません。
なので、『他店で買った自転車は一切修理お断り』という店が悪徳店というわけではなく、良心的な店だったりもするわけです。
優良店か悪徳店かの判断基準はそこではありませんが。

■安価な電動アシスト自転車の闇

今回の案件で最大の問題は『型式認定』にあります。
電動アシスト自転車を日本の公道で使用する場合、法律で車体の仕様に制限があり、その代表的なものが『最大補助力(アシスト比率)』と『アシスト有効上限速度』です。
最大補助力(アシスト比率)はライダーがペダルを漕ぐ力に対して、アシストの力は最大2倍までです。
また、アシスト有効上限速度は時速24kmまでで、24km/hを超えたらアシストはオフにならなければなりません。
もちろん、100%人力の状態になって24km/hの壁を突破することは可能です。
公道において指定速度の範囲内であれば、その場合は違法ではありません。

型式認定を受けている自転車は、間違い無く合法の車体であるということの証明になります。
そして少々ややこしいことに現状の道路交通法では、型式認定を受けていない車体だからと言って全てが違法車両になるわけではありません。

■そもそも型式認定とは?

自転車安全整備士にも深い関わりがある機関『公益財団法人 日本交通管理技術協会』によって審査される制度です。
ちなみに型式認定対象品は↓で検索できます。

『駆動補助機付自転車』ですね。
ちなみにアシスト比率の検査は自転車技士にも深い関わりがある機関『日本車両検査協会』(VIA)によって行われます。

『電動アシスト自転車』と謳いながら売られていても、実際は『電動アシスト自転車』ではなく『電動自転車』(日本での区分は『電動バイク』)になるものも多いです。
電動自転車(電動バイク)は運転免許が必要だったり、いろいろと運用のルールがあったりします。
無視して運用すれば道路交通法違反となり、ユーザーさんが行政による処分を受けることになりかねません。

型式認定の制度の審査では、悪質な企業が粗悪な電動アシスト自転車を売りつけようとしてないかどうか、そして品質保証をしないような悪質な企業、粗悪な自転車を摘発する目線で行われているようです。
さらに実機(車体)評価だけでなく、品質保証体制や製品の組み立ての概要、自転車の取り扱い説明書、改造防止等についても審査されます。
しかし、摘発するという点で言えば、悪質な企業ほど型式を取得しない(つまり審査を受けることもしない)傾向にあるため、あまり摘発できていないのが実情です。
型式認定のためには人員や時間等の膨大なリソースが必要であり、そこには当然ながらコストもかかります。
悪質な企業でなくとも、この壁は大きいのではないでしょうか。

新興企業が自転車販売店等からの信頼を得るために、型式認定を取得するという話もあります。
実際にとあるE-Bikeブランドは、型式認定を取得した後は自転車販売店での取り扱いが増えたようです。
しかし、車体の販売価格も跳ね上がるため、価格が理由でなかなか売れなかったというケースもあります。
どういう戦略で電動アシスト自転車をリリースするか、特に型式認定についてはちゃんと受けるのか、あえて受けないのか。
それは企業(メーカー等)の判断次第です。
なので現時点では、非常に真面目な企業が公的に『優良品』の証をもらっているだけに過ぎません。
もちろん、今から新しく電動アシスト自転車を購入するという人には、間違い無く型式認定を受けている車体をオススメします。
型式認定を受けていないだけで実際は合法的な車種であっても、万が一の事故の際や修理等で困る事が増えるのが明らかだからです。

■今回の修理内容

当店でも問答無用で全ての自転車の修理や整備を承ることはできません。
今回のユーザーさんは該当車種の仕様がわかるメーカーサイトのリンクを送って下さり、当店でも事前に該当車種が合法なものだと判断できました。
インターネット通販で購入したから完全アウトとは限らないし、型式認定が無いから必ずしもアウトとは限りません。
当店で取り扱いが無い車種でも、可能な範囲ならできる作業は承ります。

というワケで出張修理してきました。
整備性の観点で言えば良い点と悪い点がハッキリわかる車種です。
だからこそユーザーさんには事前にリスクをお伝えし、ご納得いただけたので良かったです。
フタを開けてみれば『リム打ちパンク』で、今回はユーザーさんとじっくり話し合ってパッチ貼り作業だけになりました。

ビシッとキレイにパッチを貼る。大切なことです。

この車種はリアに重量が集中する仕様なので、リム打ちパンクのリスクは高いです。
それを軽減するため、純正でアメリカ式バルブを採用しています。
クルマやオートバイと同じ方式のバルブですね。
適正空気圧を保ちやすいというメリットがありますが、専用の空気入れが必要だという僅かなデメリットもあります。
通学のため、この春から使い始めたそうですが、タイヤにもダメージが入っています。
この記事のサムネの写真でも伝わるかもしれませんね。
知らずに空気圧が足りない状態で運用していたようです。
できるだけ週に1度は空気を入れるようにすることや、他にも長持ちさせる方法をお伝えして完了となりました。

ちなみにこの車体、仕様としては悪くありません。

■ぶっつけ本番では…

今回の案件に限らず、どうしても一般ユーザーさんの『問題無し』の認識と、メカニックの『問題無し』の認識には違いがあります。
事前点検が無い状態で出張修理となると、該当箇所の他にも不具合が生じている可能性もあります。
パンク修理だけかと思ったら、実はブレーキもダメでした…とか、リムがダメになっているのでホイール交換になりますよ…とか、そういうケースも少なくありません。

当店への初回のご依頼の場合は、一式点検もセットで受けていただくことをオススメします。

ご依頼・ご相談を受ける際にはユーザーさんの意向もヒアリングし、現状で考えられるメリットやデメリット、リスクについてもしっかりとご説明しますので、お気軽にご相談下さいませ。
喜んで広島市や近郊で自転車出張修理を承ります。

■自転車関連のご注文・ご依頼等はメールか公式LINEでお気軽にどうぞ↓

当店は出張修理等が多いため、決まった店休日や営業時間という概念がありません。
他店様が営業していない時間帯でも予約制にてご依頼等を承ります。
また、当店にて自転車の販売(防犯登録含む)も行っておりますが、他店様にてお買い上げの自転車の組立や点検及び調整、修理やカスタマイズ、オーバーホール等のアフターケアも大歓迎です。

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