【第31節】勇気を持って闘う
J3リーグもいよいよ大詰め。
10月30日の第31節も合わせて残りは4試合となっていた。
ホーム最終戦は何があっても何がなくても盛り上がるものだけれど、ホーム残り2試合となったこの日も白波スタジアムには大勢のファン、サポーターが詰めかけていた。
最終盤まで昇格争いができているのに加えて、クラブが先着2,000人にTシャツをプレゼントする企画をしたからだと思う。
チームの今年のスローガン「One Team One Game」がプリントされたTシャツは僕も当然欲しかったので、普段より早めのキックオフ3時間前に白波スタジアムへと向かった。
長蛇の列に並んでTシャツをもらっても、まだ優先入場は始まっていない。
いったんスタジアムを出て海沿いのセブンイレブンまで行く。
その帰り道、市民文化ホール脇の公園を通り抜けると、日よけになる樹木と芝生があって雰囲気が気に入った。
2週間に一回は行っている場所のすぐそばにあるのに、今まで気づいていなかった。
いつもより早くスタジアムに着くと、いいことがあるんだな、なんて思いながら優先入場の始まったスタジアムのバックスタンドへとのぼっていった。
太鼓の音だけでもいい
いつもの辺りに座席を確保すると、次もいつものようにスタグルを食べるためにスタジアムを出てぐるっとメインスタンド側へと向かう。
ユニフォームを着た人も当然多いのだけれど、もらったばかりのTシャツを身に着けた人の姿も目立つ。
なんとなく落ち着かなさそうな様子も見えたから、たぶん普段はあんまりスタジアムに来ない人たちなんだと思う。
鹿児島ユナイテッドのホームゲーム来場者数はJ3では多いほうだけれど、それでも鹿児島市の人口が60万弱というのを考えると、まだまだ来場者数を増やす余地はありそうだ。
祭りにも似た雰囲気を感じるスタジアムの周辺を歩きながら、スタグルを物色していると、ちょうど選手たちの乗ったバスがやってくる時間となっていた。
普段はバスが到着するころにバックスタンドに入場しているから、バス待ちはあまり見ないのだけれど、この日は早くスタジアムに来ていたのでちょうどタイミングが合ったので遠巻きに見守ってみることにした。
そのときの様子が冒頭の写真。
スタジアム外ではまだ声出しはできない。
でも大旗が揺れて、太鼓が鳴っていて、音に合わせて手拍子をしていると自然と気持ちが高まってくる。
選手たちもそうだといいなと願いながら、手をたたいた。
この日のスタグルは奄美の鶏飯。
10月末にしては朝から気温が高かったうえに、Tシャツの列に並んだり、コンビニに行ったりしていたので、さっぱりしたものを食べたくなってチョイスした。
島の料理だけあって、思っていた通り食べやすかった。
さっぱりしているけど出汁は効いていて、満足。
前へ
早く着いてしまったので、試合までどう時間をつぶそうかなんて考えたりもしたけど、思いのほかすぐに試合開始の時間になった。
この日、個人的に注目していたことがある。
それはディフェンスラインが高く保てるかどうか。
シーズン当初は相手チームがボールを握っている局面でもディフェンスラインが高くて、積極的な姿勢が目立っていた。
ところが、ここ数試合は押し込まれてラインが低くなっているような気がしていた。
ゴールを奪えるか、奪えないかとか、勝てるか、勝てないか、とは関係なく、観戦後に消化不良を感じてしまうのは、そのせいだったんじゃないかと思っていた。
けれどこの日はディフェンスラインが高く保てていた。
ディフェンスラインを高くすれば、裏に抜けられたらピンチになるから勇気がいることなんだと思う。
でもリスクを恐れてばかりいたら、なにもできないのは、サッカーでもサッカー以外でも同じはず。
鹿児島ユナイテッドは高いラインでボールを奪って、いい攻撃を繰り返せていた。
でも、ゴールが遠かった。
あきらめたくない
相手のパスミスから決定的なシュートを打つ。
クロスから頭に、足に合わせる。
形はできていた。
それでも、ゴールが奪えない。
逆にコーナーキックから失点してしまう。
攻め続けながらも点が入らず、セットプレーから失点するというのは敗戦パターンとしては珍しくない。
シーズン序盤ならそう気に留めることもない負けの一つ。
ただ、シーズンは残り3試合。
試合前に2だった昇格圏までの勝点差は3に広がった。
1勝差ではあるけれど、得失点差を考えると実質4ぐらいある。
でもまだあきらめたくはないし、その必要はない。
この日の負け方がなにもできずに、相手にやりたい放題やられた結果の負けだったら、あきらめてしまっていたかもしれない。
来年はJ3も20チームになりそうだし、J3でも楽しいはずだなんて、現実逃避をしていたかもしれない。
だけど、鹿児島ユナイテッドはこの日、間違いなく勇気を持って闘えていた。
カテゴリーに関係なく、鹿児島ユナイテッドが提供してくれる場は楽しいものだ。
試合だけじゃなくて、バス待ちの雰囲気だって、最高だ。
でも、いや、だからこそ、上のカテゴリーがふさわしいとも思う。
残り3試合、勇気を持って応援していきたい。