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プランBがプランAになれば強い

鹿児島ユナイテッドのシーズン無敗は、前節で途絶えた。
先制しながら後半に2点を取られての逆転負け。
優勝・昇格を目指すには今節は絶対に負けられない。

ただ、今節はベストメンバーと目される2人の選手がけがや出場停止でいなかった。
プランBの完成度が試される試合となった。

明治安田生命J3リーグ 第8節
2022年5月5日 13時3分キックオフ@白波スタジアム
鹿児島ユナイテッドFC VS カターレ富山
4-1(2-0、2-1)
天気:曇り 気温:25.9℃
入場者数:5,059人

ゴールデンウイークは毎月あるべきだと思う

この試合が行われたのは5月5日。
つまりゴールデンウイークである。
カレンダー通りの休みなら3連休の最終日。
こどもの日ということもあって白波スタジアムには鯉のぼりが泳いでいた。

数日前に見た天気予報だと、雨交じりの天気になりそうだったけれど、ほどよい曇りになってくれた。
天気ももってくれたおかげで観客の数もいつもより多め。

やっぱり観客数が多い試合はいい。
声を出せない状況は続いているけれど、一つひとつのプレーに拍手が沸いて、手拍子の音が合わさって、スタジアムの雰囲気が高まる。

その雰囲気の中に身を置くことで選手と一緒に闘えていると感じる、と言うとおおげさかもしれないけど、少なくとも当事者意識みたいなのを感じることができる。
家でDAZNの中継を見ても、もちろんそんなことは感じない。

シーズンが進んでも鹿児島ユナイテッドが好調を維持して昇格が見えてきたら、自然と観客は増えてくるとは思う。
でも連休中だったらチームの調子に関係なく、多くの観客が集まりやすくなるはず。
だから、やっぱりゴールデンウイークは毎月あるべきだと思う。
けして働きたくないからとかいう理由じゃない、たぶん。

違うことは悪いことじゃない

いつもより人が多いとスタグルを確保するのにも、当然並ぶ時間が長くなるのだけれど、お祭り気分を感じられてそれはそれでいい。
屋台が並ぶ通りをちょっと周りをうろうろして、この日チョイスしたのはタコライス。

タコライスと言えば、ひき肉が使われているイメージがあったけれど、これは違った。
でも違うからおいしくないかというと、そんなことはない。
むしろしっかりした食べ応えがあっておいしかった。
肉の味もしっかり感じられた。

もう一品はトビウオメンチ。
写真を撮るのを忘れたんだけど、見た目は普通のメンチカツみたいなもの。
いつも買おうと思って、売り切れていたことが多かったので、やっと食べることができた。
こちらもトビウオの味がしっかりして美味だった。

立夏の鹿児島は間違いなく夏だった

腹を満たすと、いつものようにスタジアムを半周してバックスタンドへと向かう。
スタグルを食べる前に席は確保しておいたので、再入場口へ歩を進めていると、入場口に列ができているのが目に付いた。

普段ならスタグルを食べ終えて再入場するころには列はできていないのに、ここにも普段より多めの観客数の影響があった。
再入場口を経てバックスタンドに上がってもその印象は変わらない。
選手紹介のときの拍手の大きさにも雰囲気の高まりを感じた。

この日は暦の上で夏の始まりとされる立夏。
時折雲間からのぞく陽射しを浴びると汗が流れる。

選手たちがピッチに姿を現して、セレモニーが終わって、拍手と静寂が何度か繰り返されて、いよいよ試合が始まった。

試合の早い時間帯から鹿児島ユナイテッドがペースを握った。
もともと攻撃的なチームを志向しているので、こうした展開になるのは珍しくない。
ただ、攻撃を続けることで観客のボルテージも上がってくる。
前半10分に中原選手のシュートがゴールネットを揺らした瞬間に、一段と拍手は大きくなった。

残念ながらこのシーンはオフサイドの判定でゴールは認められなかった。
けれど熱を帯びた観客の後押しは止まらなかった。
そして、前半35分に今度こそゴールが決まった。
それから7分後に追加点を挙げて、前半は終了。

こういう展開になると、観ている側としては楽しくなってくる。
もちろん、サッカーを観るという行為自体は楽しいのだけれど、やっぱりリードした展開は気分を高揚させる。

試合は後半にも2点追加した鹿児島ユナイテッドが見事に勝利することができた。
個人的なハイライトは4点目のシーン。
4点差以上で勝てば、得失点差と総得点で首位に立てるというのもあったけど、決めたのが山本選手というのがよかった。
勝利した試合のあとでも自分がゴールできずに歯を食いしばっていた姿を見ていたから、ようやくシーズン初得点を決めてガッツポーズをする山本選手を見ると、胸にグッとくるものがあった。

修正は進歩のきっかけ

冒頭の話に戻る。

この日の鹿児島ユナイテッドは、いわゆるレギュラーを2人欠いた状態だった。控えにゴールキーパーもいなかった。
なのに、終わってみれば今シーズン最多得点を奪って勝利した。
最後の1失点がなければ首位に立てていたけれど、いまはまだそれを悔やむ時期ではない。
敗戦直後のホームゲームで勝点3を得られたことに意味がある。

自分の仕事でも事前の段取り通りにことが進まないのは珍しいことではない。
うまくいかなくて、そこから修正してなんとかしないといけないことはある。
ただ、それがなんとかなるかどうかは、事前にプランBを想定できていたかにかかっていると思う。
どうも良くない方向に向かっているらしいと気づいてから修正するのは難しい。

そういう意味では、鹿児島ユナイテッドは事前にプランBをしっかり立てられていたんだと思う。
もしかするとプランCやプランDもあるかもしれない。
それほどの出来だった。

代わりの選手はけして「代わり」なんてレベルじゃなかった。
途中出場だった山本選手を含め、いわゆるレギュラーと呼ばれる選手のポジションを脅かす選手が増えれば増えるほどチームは強くなるはず。
それができればプランBはきっとプランAになって、それまでのプランAがプランBになる。
その繰り返しで進歩するんだと思う。

リーグ戦は前半の前半がようやく終わった段階。
先の話をするのはまだまだ早いかもしれない。
だけど、この日の勝利はたしかに期待を抱かせてくれるものだった。

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