電子書籍『毎年受けている健康診断のお話です』を読む(5)
スタチン系の薬には、かなりの副作用がある。
手足のしびれや痙攣、手足に力が入らない、激しい筋肉痛、赤褐色の尿などの症状が出る横紋筋融解症、肝機能障害、など。
他も蕁麻疹や喉の腫れなどあるが、大きいものは上記のとおりだ。
悪玉コレステロールが高い場合は「脂質異常症」となり、スタチン系の薬でコレステロールの生産を抑えることになる。
たしかにコレステロール値が異常に高ければ、生産を抑えなければならないので、ある程度の副作用も受け入れなければならない。
しかし、コレステロールの基準値の方がおかしいのであれば、これほどの副作用(が、でるかもしれないもの)を受け入れたくはない。
ぼくは診断した病院の医師に、食生活を十分に注意するからと、こちらから改善案を示してスタチン系の薬を断った。そして、納得してもらえた。
もっとも、さすがに現在の健康診断の数値がおかしいとは、言えなかったが……。
医師の考える治療の進行に異を唱えるのは、とてもたいへんだ。遜り、様子を見ながら、言葉を並べていかなければならない。幸い、こちらの意思を受け入れてくれたので、安堵した。受け入れてくれなければ、とりあえず薬は買って、それで飲まず、翌年ちがう病院で受ける予定だった。受け入れてくれたので、ぼくは今年も同じ病院で健康診断をやった。
今年は悪玉コレステロール値が140㎎/㎗ ジャストに下がったので、薬云々の問題は発生しなかった。とはいえ、ホントにギリギリ。結果が出たあとの問診では、このコレステロール値に少し触れられた。
そのやりとりで、ぼくは「おやっ」となった。先生が、こう言ったのだ。
「ちょっとこれ(悪玉コレステロール)が高いけど、この数値はあんまり気にすることはないでしょう」
そう言ったのだ。ということは、現在は基準値への疑問が知れ渡ってきているのだろうか。知れ渡り、現場サイドでは、軽視しだしたのかもしれない。
もしそうなら、よろこばしいことだ。
ヨーロッパの研究が合っているかどうかは置いておくとしても、長年変わらないものを一旦新たな目で検証することに、悪いことは起こらないだろうから。
(つづく)