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羽川翼に学ぶキャラクターの説得力

1000年ぶりに化物語の冒頭を読んだのですが、西尾維新のキャラクターの印象付けスゲー!ってなったので紹介したいと思います!!

化物語はアニメ化もしている有名な作品です。未読の方は是非手に取ってみてくださいね。以下、若干のネタバレを含みます。

化物語上

さて、羽川翼というキャラクターを知っている方は、全て忘れてください。初見の状態で、羽川翼初登場シーンの会話を見てみましょう。
太い文字で書かれているのが羽川翼のセリフです。


「ほら、何か、戦場ヶ原ひたぎだなんて、変わった名前で面白いじゃん」
「……戦場ヶ原って、地名姓だよ?」
「あー、えっと、そうじゃなくて、僕が言っているのは、ほら、下の名前の方だから」
「戦場ヶ原さんの下の名前って、ひたぎ、でしょう? そんな変わってるかな……ひたぎって、確か、土木関係の用語じゃなかったっけ」
 
「お前は何でも知ってるな……」
 「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」


この会話だけで、羽川翼というキャラクターが知的に感じませんか?
「地名性」というなじみのない言葉で端的に知性を演出するのがおしゃれですよね。
いきなり「ひたぎの由来」から入ると作者の分身感が出て醒めてしまう気がしますが、1クッションあることで2文目も羽川翼というキャラクターの言葉になっている気がします。

この後、羽川翼は学校でトップの学力であることが説明されるのですが、その説明を待たずして、一目でキャラクター性が理解できますし、納得感をもって設定を受け入れることが出来ます。

凡人の私だったら地の文で先に羽川翼のキャラクターを説明しちゃいます、プロってすごい!

次に、羽川翼の冗談を見てみましょう。
これも、初登場してすぐのシーンです。

「参考までに、阿良々木くんは、去年一昨年、文化祭の出し物、何だった?」
「お化け屋敷と、喫茶店」
「定番だね。定番過ぎる。平凡といってもいいかも」
「まあね」
「凡俗といってもいいかも」
「そこまでは言うな」

ちゃんと知的なキャラクターのまま冗談を挟んでるのすごくないですか?

kindle版で読んでいるので定かではないのですが、紙の書籍だとこれらのやりとりが1、2ページ程度で行われていると思います。
少ないページ数、短い会話でも、羽川翼というキャラクターの魅力がきちんと伝わってきますよね。


西尾維新先生というと真っ先に言葉遊びがすごい!と挙げられると思うんですけど、私はそれと同じくらいにキャラクターを演出するのが上手だなと思います。
この記事を読んで少しでも納得していただけたら、言葉遊びだけでなく演出にも気を配って西尾作品を読んでみてください。

まあ私、化物語とクビキリサイクルしか読んだことないんですけどね。

んぴゅ……

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