「無限スクロールバー」のある世界
「無限スクロールバー」のある世界
ある動画データが保存されている。
再生ボタンを押すと一定の速度で動いて見える。
スクロールバーを前後どちらかに動かして、任意の時点に移動することも自由にできる。
さてもし、このスクロールバーが、一方向ではなく「無限の方向」にずらせる仕様になっていたとしたら?
われわれの普段の感覚としては、全瞬間において、分岐などというものはないと仮定して生きている。要するに、次の瞬間というものは、たった一種類だと考えている。しかし本当にそうだろうか。
この世界では、実際にはどの瞬間にも無限の分岐が起きているのではないか?(それは未来にも過去にも無限に分岐している)
このスクロールバーは、その「全方向」に対応してずらせるのだ。
さらに、初めに「動画データ」と言ったが、もしこれが世界の隅々まで作り込まれた「完全シミュレーションデータ」だったとしたら。
そして、実は、われわれが住んでいるのはまさにそのデータの中だとしたら。
そんな馬鹿げたことがあるかという話ではあるが、神についての議論が様々ある中で、神という概念の定義からして、この程度の想像にはなんの驚きもない。
神がもし全能であるならば、無限のメモリを使った無限のシミュレーションデータの作成くらい、極めて容易いことであろう。
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