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「まんがでわかる」系コミカライズの作り方①

それでは今回から、僕が手がけた「まんがでわかる」系のマンガ作品を題材に、その作り方を紹介していきましょう。

今回の記事では”「まんがでわかる」系のマンガ作品”とは何かについて描いていきます。


”「まんがでわかる」系のマンガ作品”とは何か、それはいわゆる「物語文学」ではなく、ある一つの題材をマンガでわかりやすく伝える作品、ということです。

したがって漫画に描かれる「物語」は僕自身が創作したオリジナルということになるわけです。


「物語文学」のコミカライズだと、その物語が面白いかそうでないかは、ある程度原作のそれに担保されるわけですが、オリジナルで創作するとなると、その作品が面白いかどうかの全責任は全て作者である僕(やあなた)自身にかかってきます。


そういう意味では、「物語文学」のコミカライズよりもやりがいはある、とも言えるわけですが、しかしストーリーやら設定やら何から何まで全てをゼロから自分で作り上げるいわゆる「オリジナル創作」と違って、ある題材を「わかりやすく伝えるための、なおかつ面白い物語」を創造するわけで、全くのオリジナル創作とも違う難しさが存在するのです。

また、その扱う題材はほとんど全てが「この題材を漫画にしてくれ」と依頼されるところから始まるわけで、僕自身が昔から研究していたり好んでいた題材ではない、ありていに言うとそれまでまるで興味のなかった題材を扱うわけですから、その題材をひたすら学びつつ同時に「わかりやすい」漫画にしなければならない

しかも、一つある題材を漫画にできたからと言ってその時の手法がそのまま次の題材に当てはめて使えるわけではない、という恐ろしいジャンルなのです(実際、「コーラン」と「ケインズ」、「プーチン」はそれぞれ全く違う構成で作っています)。一難去ってまた一難というやつですね。

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そんな恐ろしいジャンルである”「まんがでわかる」系のマンガ作品”を僕はいくつか手がけてきました。

「まんがで読破 コーラン」(構成・ネーム・キャラデザ)
「まんがで読破 雇用・利子および貨幣の一般理論」
「まんがでわかるプーチン」

などがそうです。
前回取り上げた「まんがで読破 地獄の季節」もある意味「まんがでわかるアルチュール・ランボー」と言えるかもしれませんね。

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またこれ以前に「まんがで学ぶ成功企業の仕事術」というシリーズで、様々な企業の創業物語を手がけていました。これはいわば「まんがでわかる人物伝」と言えるでしょうか。

「ブリヂストン編」(構成・ネーム)
「森ビル編」(構成・ネーム)
「グリコ編」(絵コンテのみ)

などで、大企業の創業物語は制約が多くてなかなか自由には描けなかったのですが、企業側がとても面白がってくれて割と自由に描かせてくれたものもあって、それが

「アース編」
「ライフネット生命編」

です。こちらは作品自体も愛着もあるし、特に「ライフネット生命編」は自分でも気に入っています。
興味のある方はぜひ。

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さて、これまで取り上げた「物語文学」のコミカライズを作る際のテクニックは、

この”「まんがでわかる」系のマンガ作品”ではほとんど使えません。


「原作から”骨”を取り出す」とか「文章を解釈する」とか「原作をアレンジする」とかですね。

これはいくつか理由はありますが、大きく言えるのは、”「まんがでわかる」系のマンガ作品”で取り上げる題材にはまとまった「物語」がないからです。

一口にコミカライズと言っても、「物語文学」をコミカライズするときとは全く違う考え方・作り方をしなければならないわけですね。

このジャンルを作る難しさの一端が少しでもわかっていただければ、巷に溢れる”「まんがでわかる」系のマンガ作品”の読み方や楽しみ方も変わってくるのではないでしょうか?


それではこれから、その「なぜ物語文学のコミカライズを作る際のテクニックが使えないのか」を明確にしながら”「まんがでわかる」系のマンガ作品”の作り方を書いていきましょう。


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トーエ・シンメ
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