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一般労働者の所定内給与の伸び、なかなか届かない3%~2024年10月の毎月勤労統計

 昨日(6日)、「毎月勤労統計」(厚生労働省)の2024年10月分の速報値が公表されました。日経夕刊は実質賃金が横ばいでマイナスから脱却したことに注目していますが、政府の電気・ガスの負担軽減策により消費者物価上昇率が9月より低下したためです。記事中の厚生労働省の担当者のコメントにあるように「実質賃金が上昇するかどうかは物価次第」なのです。
 ということで本稿では引き続き、名目賃金に注目します。基調的な賃金動向が確認できる、一般労働者の所定内賃金上昇率とパートタイム労働者の時給から確認しましょう。


一般労働者の所定内給与伸び率は2.8%

 一般労働者の10月の所定内給与の前年同月比伸び率は2.8%で、9月の2.7%(速報段階は2.7%)から伸びを拡大しました。9月は速報段階では2.5%で8月から伸びが減速したように見えたのですが、確報で上方改定されてます。グラフを見ればわかるように3%に向けてじわじわと上昇を続けているように見えます。
 なお、共通事業所ベースでみた一般労働者の所定内給与伸び率は7月に3.0%を付けた後、8月は2.8%、9月は2.9%と推移しており、10月は全サンプルと同じ2.8%でした。なかなか、3%に届かないですね~
 一方、パート時給(パートタイム労働者の時間当たり所定内給与)上昇率は4.2%。9月の4.7%(速報時は4.3%)から若干縮小しています。日経の記事では最低賃金上昇の影響が出ていると書かれていますが、伸び率はむしろ縮小しています。9月のように確報段階で上方改定される可能性はありますが。

10月は総実労働時間の減少が小幅に

 9月は前年同月に比べて一般労働者の総実労働時間が比較的大きく減少してましたが、10月は小幅減少にとどまりました。出勤日数が前年同月と変わらず(9月は前年同期差▲0.6日)、所定内労働時間が前年同月と変わらなかったためです。所定外労働時間は2.1%減でしたが、賃金上昇を受けて所定外給与は1.7%増でした。
 11月からは冬のボーナスの時期に入っていくと思われます。特別給与がどこまで名目賃金全体を押し上げるかを注目したいですね。


#日経COMEMO #NIKKEI

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