「母親からの小包はなぜこんなにダサいのか」
何度も本屋さんで見かけていたけれど
個人的に母親ネタは少し敬遠気味なのでなかなか手を伸ばせずにいた
でも、何度目かになって、急に
読んでみようかな
とパラパラとめくってみた
原田さんの本ははじめましてではなかったけれど
とても読みやすそうだと感じて買ってみた
勝手に長編だと思っていたけれど6つの話が入っている本だった
地方から進学で出てきてなかなか学校に馴染めずにいる女の子の話
お母さんから送られてきたお菓子がきっかけで広がる縁
母親と疎遠だけど、
通販で買っている小包を実家からのものだと彼氏に偽り続ける女の子の話
そしてその通販のお店側のお話
など、ひとつひとつ振り返ると長くなってしまうのだけど
ここまで書いて気付いたのは
この本は母親と娘の話なのだということ
自分は結婚前はずっと実家だったし
結婚後も同じ市内に住んでいるので
わざわざ荷物が届くことはなかった
逆に、時間がなくて寄れないからと荷物を送ったら
母から注意を受けたことがある
近くにいるのだからちゃんと顔を見せて届けなさい
ということだったと思う
そこまで言われはしなかったけど
唯一母から荷物を受け取る機会があったのは
1年間留学していた時
どんなものが入っていたかは今となっては思い出せないけれど
自分が好まない肌着や靴下が入っていることはなかったはず
それがこの本とは異なるところだけど
みんな「もー、いらないのに」と言いながら
きっと少しは開けるのにワクワクしていたのではないかと思う
少なくとも自分は楽しみだったし、母からの手紙が何より楽しみだった
母からの手紙に泣いたり笑ったり心配になったりした
自分と母の別れはとても急で
数年経った今もまだ急に寂しくなったりする
だから母親が題材の作品はまだ手に取れなかったりするのだけど
でも読んでよかった
気持ちが温かくなったし
自分の母親はもういなくても自分が娘の母親であることは残っている
いつか自分も娘にこういう小包を送るのかななんて思いながら読んだ
最後の話はまさに予期せぬ母親との別れがメインだった
葬儀のために帰省して、終わって家に戻ってみたら
亡くなった母親からの小包の不在通知が入っている
入院する直前に送ったものだと告げられる
私も母が入院する前日にたまたま電話していた
突然亡くなった叔父も、前日に娘を訪ねて一緒に夕飯を食べたと聞いた
急なことで、きっと本人もそうなるなんて思ってもいないはずなのに
直前に思い立ってしたことが最後の思い出になることがある
それが最後の小包なのかなと
そう感じた