#7.Avrilとの出会い

―連載マガジン『ポンコツだらけの音楽会～私の夢の叶え方』第7話。
全話はこちら第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話―

中学3年生になると、
受験勉強が本格的に始まった。

私は得意だった英語を活かせる高校を探した。
といっても、成績がめちゃくちゃ良いわけではなかったので
選択肢は多くはなかった。

そして、私立高校を目指すことになる。

この頃は、受験勉強がメインの生活をしていたので
音楽や芸能関係とは疎遠になっていた。

試験前になると深夜まで勉強することも増えた。
私は昔から無音が嫌いだった。
なので、勉強するときも何か音楽を聴きながらすることが多かった。

この日はたまたまラジオを聴いていた。

ある日、洋楽特集があった。
そこで私は初めてアヴリル・ラヴィーンの曲を聴いた。

彼女が2002年にリリースした「Let go」のアルバムに収録されている
「Complicated」という曲だ。

勉強している手が止まった。
ただただ、かっこよかった。

そこから彼女のことがもっと知りたくなり、
インターネットで調べるようになった。

私と3歳しか違わない女の子が、
ギターを持ってのびのびと唄っている…

私が今まで思い描いてきたアーティスト像は、
浜崎あゆみのような人物だった。それしか知らなかった。
知ろうとしなかったのかもしれない。

でもアヴリルと出会って、
私の思い描いてきた女性アーティスト像は
180度変えられた。

タンクトップにダボダボパンツで唄う彼女が、
すごくかっこよく見えた。

そして、私は母に貰ってから
今まで触らなかったアコースティックギターに興味を持ち始めた。
ギターなんて女の子が弾くものなの？
当時の私はそう思っていたので、なかなか弾こうと思えずにいた。

しかし、ついにハードケースの鍵を開け
ギターを取り出した。
中古特有のにおいが広がり、錆びついた弦が目に飛び込んできた。

さすがの素人でも、これは弾けないと理解できた。

次の日、私は近くの楽器店までギターを持って行った。