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映画「最後まで行く」は 「最後の先」まで行っていた!

見出し通り、韓国オリジナル版「最後まで行く」もフランス版も観ていたけど日本版は「最後の先」まで行っていた。本当に。
「最後まで行く」:岡田准一の主演で、ひとつの事故を発端に追い詰められていく刑事の姿を描いたクライムサスペンス。工藤(岡田准一)を追い詰めるエリート監察官の矢崎役に綾野剛、そして広末涼子、磯村勇斗、杉本哲太、柄本明ら豪華キャストが共演。監督 藤井道人 / 脚本 平田研也 / オリジナル脚本 キム・ソンフン

韓国版オリジナル フランス版 日本版

正直に言うと「この映画…大丈夫かな?」と心配しながら映画館に向かいました。最近みた15秒スポット『賄賂、離婚、誘拐、脅迫、死体、この男どうする?』とナレーションがあり、岡田准一(工藤)がスマホに「バーカ!」と過剰に罵るセリフで終わるやつ。「もしかしたら面白くないんじゃないか?」と疑いが芽生えるCMだったので…どっちみち岡田准一作品は全て観るので、予告が好きじゃなくても映画館には行くのだけれど。

しかし、映画スタート数分で心配は「雲散霧消」した。ガラの悪い人間性丸出しの工藤(岡田准一)の喋り方や仕草や目つき、人との接し方、諸々が実に自然だったし、人を撥ねて追い込まれていく際の反応や表情などがメチャ過剰だけどウソっぽく無くアクの強いキャラクターや状況を信じさせる「演技の突破力」が凄すぎて『マジか?こいつ (笑) 岡田、やり過ぎじゃないか(笑)』と、つい笑っちゃうほどだったのだ。この時点で、韓国版のイ・ソンギュ(My Dear Misterの名優)やフランス版俳優とは一線を隔す岡田准一ワールドになっているw。僕も好きな藤井道人監督の演出も小気味いい。

共演者たち〜先ずは綾野剛

綾野剛は狂人の域に達していた。改めていい役者だと思った。岡田が「ヒリヒリするような演技」と言っていた通り、彼が醸し出す緊張感は独特で、隙が無い。特にラストの顔は「見てはいけない表情」で見ると狂気が感染しそうな怖さを感じた。

工藤の妻役、広末涼子も素晴らしい。ごく普通の衣装やスニーカーもリアルで板についていて、それでも美しくて。壊れかけた夫婦関係が、やたら悲しかった😢。工藤がラスト近く、彼女に謝るひと言にホロリと涙してしまった🤫とは言え、ベタベタしている訳ではなくノンストップ活劇の中に、グッとくる要素も濃縮して挿入されているのだ。

オリジナルには出てこない登場人物、仙葉組組長役の江本明の存在も大きかった。この役の存在で、ストーリーに厚みが出たし工藤と矢崎の哀しさもより深まったと思う。キーパーソンです。

魂は細部に宿る

スタッフも若く、映画愛溢れた面々が集っているとのことで、映画全体にその「念」が溢れている。予告に大金も登場するが、撮影にはいわゆるフェイク紙幣が使われることが多く、札束の中身は「あんこ」で真っ白の紙のことも多いが、この作品では単なる見せ金ではなく表裏ともに印刷してある一万円札で撮影されたという。その量は、圧巻。アクションでも実に効果的に写っています。その場面の撮影は、岡田座長の鼓舞の元テキパキと1日で撮影されたと聞き、驚いた。観てもらえば分かるが、あの量を1日で撮ったのか?と驚くと思う。観てない方は、是非、みてほしいと思います。

岡田准一と藤井道人監督の息もピッタリだと思った。藤井監督にとっては至福の時間だったのではないか?と思う。岡田准一という人は、一流のタレントであると同時に優秀で信じられる、頼り甲斐のある人物だからだ。SPシリーズをやっている最中、学校へ行こう!の楽屋で懸命に手書きでアクション場面のアクションプランを練っていて(歩道橋や道の絵を自分で描いたりして)、色んな話をしたし、アクションコーナーをV6で撮る際も、カメラアングルや動きなどを岡田と相談しながらやると猛スピードで撮影できた(様々な武道の師範になる前ですが)し。パリコレ企画の時は、フランスロケの前にファッション界の知人のツテでクロエのショーに入れたり、緊急で出すことになった申請書のフランス語訳の対応を夜中(朝)の4時に電話で話しながら対応してくれたり。スタッフ顔負けの活躍をすすんでやってくれる実に頼れる存在だと実感しているので、きっと映画の現場ではそれ以上の活躍をしているのが手に取るように想像できる。プロデュースや監督・演出の仕事もゆくゆくやっていくはずです。脱線しました💦

藤井監督が岡田のことを『国民的映画の主演俳優というより、「木更津キャッツアイ」(2002~06)や「学校へ行こう!」(1997~2008)の印象が強いんです』と言っていたコメントがじわじわっと嬉しかったですw(筆者は「学校へ行こう!」のPを務めていたので)。その藤井監督の言葉を聞いた岡田准一は初日からイメージ通りの工藤を演じてくれたと聞き、また嬉しくなりました。年末に設定をしたことで、年末年始のあの日本的な感じが更に気分を盛り上げてくれます。そこに出てくる各キャラクターの点描(これも1カットずつ丁寧に小道具などもキチッと揃えて撮影)や岡田広末のやり取りにもボクは感動してしまいました。ただ、感動なんかじゃ終わらせないぜ、っていうのがこの映画の見どころでもあります(笑)。韓国オリジナル版を超え「最後の先」まで、この映画は突き進んでいます。いや~いいもの観ました。

岡田准一座長✙藤井組の傑作映画「最後まで行く」の誕生を心からお祝いします。ストーリーを知っていようが(韓国版、仏版 鑑賞済)、予告編をイマイチ(個人的な趣味で)と思っていてもこの映画「最後まで行く」はとことん楽しめるエンタメ要素満載の作品。そうです、「必見映画」です。

素晴らしい映画をみせてくれた岡田准一に花を贈りたいと思います(笑)




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