SEE HEAR LOVE 正直な感想(Amazon Prime 版) ★ Director's Cut版は別途
山下智久✖新木優子✖イ・ジェハン(John H.Lee)のラブ・ストーリー。
きっと皆が期待に胸を膨らませていたと思う。一番下に山下智久/ I See Youが貼ってあるので、聴きながら読んでみてください🙏
⭐︎SEE HEAR LOVE Director’s Cut版 感想☟
SEE HEAR LOVE Amazon Prime Video 2023/6/9 配信 132分
原作:「見えなくても聞こえなくても愛してる」NASTY CAT(WEb漫画)
脚本・監督:イ・ジェハン(John H.Lee) 出演:山下智久、新木優子、高杉真宙、山本舞香、深水元基、山口紗弥加、夏木マリほか
【あらすじ】
漫画家の泉本真治(山下智久)は、自身が心血を注いできた作品の映画化が決まり喜んでいた矢先、目が見えなくなる病を患う。軌道に乗ってきた連載漫画『ONLY FOR YOU』も休載、一緒に暮らす祖母(夏木マリ)の世話も困難になる。絶望と恐怖に耐えきれず、ベランダから身を投げ出そうとした真治は彼の漫画のファンで生まれつき耳が聞こえない相田響(新木優子)に助けられる。
山下智久は2020年11月ジャニーズ卒業後も独自に努力を重ね、海外作品、NHK連ドラ「正直不動産」、BVLGARI、Dior アンバサダー、Netflix 今際の国のアリス2、シングル発売など、目覚ましい活躍を続けている。今回のSEE HEAR LOVE にも真摯に取り組んでいるのが、その演技から伝わってきた。
ヒロインの新木優子も、響役を魅力的に演じている。聾啞(ろうあ)者の設定で、しかもトロイメライをピアノで弾くという困難な設定もあるが、時間をかけ念入りに準備して撮影に臨んだのがうかがえる演技をしていた。
この2人の場面は、どれもいい。地道に難役に取り組んでいる。視覚を失って、自暴自棄になり絶望に乗っ取られていく真治を、違和感なく演じている。投身自殺を試みる真治を、響が必死に止める一連のシーンでは、響も瞬時に真治の状態を理解したようにも見え、そのせいか痛みさえ感じながら必死に止める様子に胸打たれる。
この2人の魂が触れ合っていく様を、淡々と描いていくだけできっと素晴らしい作品になったと思う。ところが、、、、
二人以外の演者たちの演技のテイストが、どれもチグハグなのだ。最初におかしい、と思ったのは、真治がかかる医者が、有り得ない演技をしていたのだ。足を組んで、吐き捨てるような、無意味に不機嫌で患者を全くケアしていない一方通行の演技だった。韓国人の監督で日本語がよく分からないのをいいことに、役者がやりたいような演技をして自己満足に陥ったのか?出演チャンスの少ない演者が、目立ちたい一心でストーリーや流れから浮いた演技をすることもあるが…これは解せなかった。山下君はやり辛かった気もするし、コレにNGを出さない監督やスタッフに疑問を持ったのでは?…しかし、山下智久は不満を並べ立てるような人格ではない、医者の登場場面も短いし、我慢したのか?…などとあらぬ想像をしてしまった。後半、登場する医者も、無意味に不機嫌な演技をしていたのも納得がいかなかった。何故?
しかし、ベテランの夏木マリやキャリアも充分な高杉真宙、山口紗弥加らもこぞって奇妙なキャラを演じている。これは?一体どういう事?そのテイストは、一昔前のラブコメ風の、パターン化されたキャラを強調した演技で、ボクが苦手とするものだった。念のため言っておくと、ボクはコメディが苦手なのではなく、大好きです。
つまり、せっかく山下智久、新木優子の2人が、リアルで真摯な演技をしているのに、周りがそぐわない演技の数々で壊しにかかっているように(そんなはずはないが)みえてならなかったんです。これオモシロいでしょう?みたいな媚びた演技にみえた。もしかしたら『聾唖者や失明状態の二人を描くので、周りはつとめて明るいテイストで盛り上げよう』と監督以下、皆が(モチロン)悪気なくそうしていたのなら実に残念な考え方だと思います。
ストーリーや設定も生身の人間が演じるにはキツイ(原作はマンガだけに)ものが多々ある。真治(山下智久)のマンガの大ファンの響(新木優子)が『ONLY FOR YOU』の連載が中断されたことを心配して、真治のマンションを探し出し、乗り込むという設定からして「ヤバい」。あれは、新木優子の可愛らしい魅力で多少ゴマけたのと、2人が出会わないと物語が始まらないから目をつむった。だけど自殺を止めたあと、響はいったいどうやって説明をしたんだろうか?「気にしちゃいけない」と疑問に蓋をして見続けた。
出会った瞬間はお互い意思疎通ができないのですが(声は聞こえないし、書いても見えない)、掌に文字を書いたりスマホで文を音声変換したり、など2人だけのコミュニケーション方法を見つける過程は興味深いです。
祖母、多恵のキャラクターも、現実味のない、癖が強すぎる不機嫌なおばあちゃんになっていて、申し訳ないけれど違和感の方が強かったです。あと、社長(高杉真宙)がやっていることは、完全にストーカーだし、いきなり響に「結婚して下さい」って、もはや気がふれている。秘書(山口紗弥加)の言動はどれもキテレツだしヅラも気になるし、、、役者の仕事はリスクで一杯だと、しみじみ思った。演出だとしても不自然で奇妙な演技をしたら、それが映像や人々の記憶に残るからだ。この手の演技をしていたら、緒形拳なら一撃、喝を入れただろう。かつて、若い役者が受け狙いの演技をしていたら『スタッフに媚びた芝居するなバカ野郎!』と、正面から額を手のひらでバチッと張り倒した逸話もある。その役者は、一時は売れていたが、今は見なくなった。かように演者、出役にはリスクがついて回るものだ。これは悪口で書いているのではなく、正直にそう思っている。
劇中、真治は「不治の病」「交通事故」なんてあざといお涙頂戴的な設定はボクのマンガに描けない、と言っておきながら、このSEE HEAR LOVE 自体が正に「安易に悲劇が挿入されるストーリーになっている」のは皮肉なのか?暗喩?なのか…解せない。原作マンガがダメなら人間用に直さなきゃです。
ラスト、まさかの強引で雑なハッピーラブストーリー展開にもついていけなかった。死んだ様な描写の直後には完治して…失明する設定は一体なんだったのか?タイトルが「見えなくても聞こえなくても愛している」なのにラストは見えて終わっていいのか?違和感を感じました。
いいキャスティングで映像も美しいだけに、突っ込みどころ満載のストーリーが惜しまれる。映画館で上映する作品ではなく、興行収入は関係ない配信だからこそ「受け狙い」の作品作りはしてはならない(そんな意識はないだろうけれど)と思う。
⭐️来月から映画館で上映もするようなので改めて劇場で見てみようと思います。
繰り返して言いますが、山下智久、新木優子の2人は、地に足の着いた素晴らしい演技をしている。強引かつ雑なストーリーで、そう演じざるをえなかった部分は痛々しく不憫に感じたけれど。2人は、文字通り『見えなくても 聞こえなくても愛してる』を体現していた。次回、山下智久、新木優子がガッツリ共演するのをまた別の作品で見てみたい、と心底思っています。
そして、願わくばカットしたであろう膨大なフッテージなどをすべからく入れ込み、ストーリーやキャラクターを補填したコンプリートバージョンが公開されることを願っています。
P.S.
これを読んで、気を悪くされた方もいらっしゃるかもしれません。せっかく読んでいただいたのに申し訳ありません。特に、山下智久、新木優子の2人は好きな演者だし、応援もしている方々です。だからSEE HEAR LOVEにはとても期待をしていました。それが想像と異なっていて、落胆した面もあります。しかしながら、作品を作って、世に出すということは、美辞麗句の賞賛ばかりではなく、厳しい批判やバッシングを受けてしまうこともあります。そんな中で、大切なのは正直に意見を言う、ということだと思うし、良かった、面白かった、という意見は労いにはなります。しかしながら、厳しいことに「糧」になるのは反対意見のことが多い、と思っています。
主題歌:I SEE YOU / 山下智久 いい曲です。