「コースデザイン」セミナー受講記録⑩
今回10回目の講義です。
第1期の理論編が終わりに近づき、まとめの内容になってきています。
今日は実際に企業研修のコースデザインなどをされている長崎清美先生による講義でした。
この記事は就労者に対する日本語教師養成の講座記録です。
講座の概要は↓↓
1.概要
実際にある企業から「日本語を教えてくれないか?」と頼まれたら、どうするか?
そんなイメージで講義が進んでいきました。
「喜んで!!」と私なら答えます。
まずはみんなで情報交換。
ZOOMの機能、ブレイクアウトルームに分かれて、それぞれ今、どんな授業をしているのかなどを教えあいました。
技能実習生に教えている先生、海外に住んでいる人に教えている先生。
皆さん、本当にいろいろな方を対象に授業をしていて、それだけ日本語を学びたい人と教える人がいるということが、なんだか感慨深いですね。
2.コースデザイン:メーガーの3つの質問
実際にコースデザインをするために、という話が進んでいきました。
メーガー・・??
調べてみると、アメリカの教育工学者/心理学者ロバート・メーガー氏だそうです。
前回出てきた「インストラクショナル・デザイン(ID/授業設計)」を考えるうえでも重要なキーワードのようです。
目標達成のために道を作り、必要な道具をそろえていき、達成したかを確認するというイメージでしょうか。
コースデザインには、一貫性が重要ということです。
3.コースデザイン:コースデザインの留意点
就労者の日本語教育の場合、依頼する人が日本語教育のプロではないことが多々あります。それはそうですよね。
自分の会社に受け入れた外国人に日本語を習わせたいと思っているということは、別の仕事をしている人なんですから。
当たり前のことですが、専門用語を使わないとか、相手が分かるように説明することをきちんと意識するようにとアドバイスがありました。
特にレベル感はつかめないと思います。
全くの初級レベルなのに、議事録をとれるようにしてほしいなど、日本語教師から見て、現状と目標に大きなギャップがあるときは、分かりやすい図などでレベルの認識を説明するとよいとのことでした。
こんなふうに、可視化すると分かりやすいですね。
「CEFRの共通参照レベル:全体的な尺度」は誰でもレベルがわかるように示されているので、こういったものを利用するとよさそうです。
そのほか、実際に依頼や問い合わせがあった場合には速やかに返信するなど、ビジネス面のアドバイスもあったので、受講者からは色々質問が出ました。
見積は一体どう示せばいいのか、いくら提示していいのか、みんなが悩むところですよね。
金額については「企業向け日本語研修授業料」で検索してみて、相場を知るなどのアドバイスがありました。
ほかには学習者に親身に寄り添うなど、付加価値をつけるとか、態度で示すとかも重要とのことでした。
そのほかの留意点。
・依頼主の「初心者」に惑わされない
・依頼主のニーズばかりではなく、学習者の気持ちを大切にする
・スマホなどで解決できることはやらない
4.コースデザイン:みんなでやってみよう
最後に、コースデザインをグループワークで行いました。
私たちのグループはとにかく、いろいろなコースのアイディアを出して、具体的な方策まで至らなかったのですが、自分以外の人のアイディアを聞くのは面白かったです。
先生からも、たくさん出したアイディアは貴重、初級ならこの授業、中級だからこれ、というようにパターン化してしまうと、多様なニーズに応えられないとお話がありました。
5.まとめ
・コースデザインをするには、ヒアリングが重要
・日本語研修の依頼主(会社側)だけでなく、学習者自身も満足できる内容を提示する。
・依頼主(会社側)とコミュニケーションをしっかりとり、学習者の実際のレベル状況や、目標達成に必要な時間などについてギャップが生まれないようにする。
・多様な依頼に対し、柔軟に対応できるようにいろいろなアイディアを考える。
6.感想
第1回目の講義からずっと繰り返し言われていることが「多様なニーズに応える」こと、そしてそのために必要なのが「事前インタビュー(ニーズ・レディネス調査」をしっかり行うことです。
色々な業種に就く外国人が増えているので、その分ニーズも多様化していると思います。そのニーズにいかに応えられるかが重要ということは、日本語教師ってまさにサービス業ですね。
あとがき
なんでも教えられることも重要ですが、自分の強みを生かして、何かに特化したレッスンができれば、誰かのニーズにベストマッチするかもしれません。
毎週学びが多すぎて、自分はそれをどう生かせるのかなと悩んでしまいます。