ファーストペンギンとして、データベース構築という獣道を、傷だらけになってもめげずに進む。
教育長の戸ヶ﨑です。11月14日(月)に、教育政策シンクタンク アドバイザリーボードの第3回を開催し、全国各地から前回を超える約180名の方に傍聴いただきました。
今回から、新たに認定NPO法人カタリバの代表理事である今村久美様を委員にお迎えしました。
この投稿では、会議の内容について、私の思いも込めながら御紹介したいと思います。
◆資料はこちら
1.教育の現場は黒魔術であってはいけない
以前の投稿でも触れましたが、本シンクタンクは、私が着任以来、強い拘りを持って進めてきた取組です。
学校村・教育村に瞭然と横たわる課題である「3K」(経験、勘、気合い)のみで互いに納得し合ってしまう文化を変えたい。
個人的な経験や考えのみに左右されることなく、データなどをもとに証左やアカウンタビリティを確保した教育を進めたい。
そう長く考えてきました。
また、教育は黒魔術であってはいけない、本来科学的であるべきである、とも考えています。
そこで、授業や生徒指導そして学校経営も科学したいとの強い思いから、これまでの本市の教育改革のコンセプトの一つとしてまいりました。
本シンクタンクにおいては、データをもとに、教師の匠の指導技術や子供の学びのプロセス、または子供の発する微細なSOSを外化(可視化、言語化、定量化)することで、暗黙知を形式知に変換し、蓄積された教育財産の共有・伝承をしていくことなどを目指しております。
2.教育総合データベース(デジタル庁実証事業)の検討状況について
(1) 目的のほか、データリストの整備など地道な作業プロセスも紹介
まず、教育総合データベースの構築に係る検討状況について御説明しました。
◆資料1-1はこちら
このデータベースは、「誰一人取り残されない、子供たち一人一人に応じた支援の実現」を目的としています。具体的には、
(1)子供たちのSOSの早期発見・支援(個人レベル)
(2)貧困・虐待等の困難を有する子供への支援(個人レベル)
(3)学校カルテによる現場への継続的改善のためのフィードバック(学校~学級レベル)
について、教育委員会が保有するデータを中心に連携、分析し、検証を行うものです。
また、前回からの進捗として、大変な作業であるデータリストの作成について紹介しました。
教育委員会の保有データはそのほとんどが帳票形式で、IDがない場合も多く、かつ同じデータでも一つにまとまっていないものばかりです。
それを1ファイルにまとめてCSV形式化し、IDを付与し、種々のチェックを行うため、膨大なコストがかかります。
こうした作業を、データ利活用に専門的な知見を有する職員が中心となり、会計年度任用職員として大学院生の力も借りながら、一つ一つ地道な作業を重ねているところです。
さらに、データベースに最終的に実装が必要となる機能として、標準的な機能であるアカウント管理/ユーザー認証、データ取り込み/抽出、検索、リンクの他、校務支援システム等との連携、ダッシュボード、アラート表示といったものを列挙しました。
特にダッシュボードやアラート表示機能については、データ分析の結果を現場で活用するという観点から非常に重要な機能です。
他方で、今年度中に全ての機能を実装することは困難であるため、まず、どのような手法でこうした機能が実現できるか、実現可能性について関係事業者とも協議を行いつつ、可能なものからデータベースに実装していくこととしています。
そして、令和3年度データ(不登校関連)の暫定的な分析結果についても紹介しました。
現状としては、対象母集団が少ないことなどから、いくつかの相関や傾向は見えてきたものの、1つ1つの項目では予測に利用できるほど強い相関は見られなかったため、今後、複数年度のデータ整理を行い、分析に用いるとともに、複数項目を組み合わせて分析するなど、分析の深堀りを行っていきたいと考えています。
(2) 安全・安心な利活用のためのガイドライン案を提示
次に、前回のアドバイザリーボードでの委員の皆様からの御助言を踏まえ、「教育データの利活用に関するガイドライン(案)」を、今回初めて提示しました。
◆資料1-2はこちら
教育データの利活用は、それまで気付けなかった支援が必要な子供の発見、複数のデータの活用によるアセスメントの質の向上など、「見えなかったものが見えてくる」ことを通じて、子供も教師もリフレクションが深まる気付きを多く得ることができるなど、様々な教育課題解決の一助となる可能性があります。
他方で、データは暖かみのない冷たく危ないものだ、評価の材料に使われるのではないか、情報漏洩が心配である、といった不安感や抵抗感の声があるのも事実です。
こうしたことを踏まえて、おそらく日本の自治体では初となる、以下の教育データ利活用の基本的な方針をまとめました。
1.教育は技術に優先する
〇 本市におけるデータベースをはじめとしたデータ利活用の目的は、誰一人取り残されない、子供たち一人一人に応じた支援の実現にある。
また、データベースが人間の判断を代替するということではなく、あくまでも教職員等の気付きや判断をサポートするツールとして位置付ける必要がある。
さらに、データは必ずしも万能なものではなく、「データ化する必要のないもの」「データで測れていないもの」が存在することを常に認識すべきである。
こうした意味で、「手段」であるデータ利活用が、「目的」化しないようにする必要がある。
〇 アルゴリズムや判定ロジックの設計等に当たっても、上記の考え方に基づき、本市が主体となって具体的な仕組みを検討するとともに、定期的に評価する。
2.差別的取扱いの禁止等
〇 教育データの利活用により、例えば特別支援学級や通級による指導の対象とすべき者を恣意的に選別したり、いじめっ子を予測するなど、児童生徒個々人のふるい分けを行ったり、差別的な取扱いや不適正な利用につながることがないようにする。
〇 これを含め、教育データの利活用は、本人や保護者の理解・納得の上で行われる必要があり、望まない形で行われることによって、個人が権利利益の侵害を受けることのないようにする必要がある。
3.内心の自由の保障等
〇 教育データの利活用により、信条や価値観等のうち本人が外部に表出することを望まない内面の部分を可視化することがないようにする。
〇 また、外部に表出している部分であったとしても、行動の細部まで把握され、逐一監視されるような教育環境に児童生徒が置かれるとすれば自由の制約になる可能性もあり、こうしたことにも留意する必要がある。
4.教育の機会均等と水準の維持向上
〇 教育データは、あくまでも学校経営や教育指導の改善といった、教育の機会均等と水準の維持向上に資する目的で利活用することとし、学校又は児童生徒の成績等の序列化や一面的な評価につながることのないようにする。
〇 教育データを利活用する主体として想定されるのは、児童生徒、保護者、教職員、学校、自治体、大学、民間事業者等であるが、何よりも学習者である児童生徒が受益者となるよう、各主体が連携して取り組んでいく必要がある。
併せて、教育データ利活用に際しての具体的措置として、以下についても記載しています。
本ガイドラインは、国の最新の動向も参考として策定していますが、「一度決定したら終わり」というものではなく、実証事業の進捗を踏まえつつ、必要な場合には、適宜見直しを行うこととしたいと考えています。
・総括管理主体、保有・管理主体、分析主体、活用主体といった関係者の役割の明確化による「データガバナンス体制の確立」
・個人情報等の適正な取扱いを確保するための、組織的・人的・物理的・技術的な観点からの「安全管理措置の実施」
・利用目的の丁寧な説明や、学校現場におけるデータ利活用の文化醸成、幅広い市民・世論の理解の醸成、開示請求があった場合の対応
・データベースに実装すべき機能や、搭載するデータの対象年度・保存期間、卒業等に際してのデータの取り扱い、学術研究機関等とのデータ共有の在り方など、「データベースの構築・運用の在り方」
(3) アドバイザーからの御意見と今後の方向性
これらについて、アドバイザーの方々から、約1時間にわたり大変白熱した御意見を頂戴しました。
データベースの方向性に係る御意見は以下のとおりであり、これらも踏まえながら、データベース構築に本格的に取り組んでいきます。
・不登校の予測は意義がある一方、暫定的な分析結果について、サンプルサイズが少ないので予測が上手くいっていないという話があったが、理由も含めてもう少し子細に教えていただきたい。
また、尼崎市のデータ分析からは、例えば無園児や法定健診を受けていない子など、今行政の側から見えないけれど困難な状況にある子供達というのが見えてきている。
行政の目から隠れると中々見えていない所が見えてくるので、こうした研究が蓄積されていくとより良いのではないか。
さらに、データリストの整備や標準化が極めて骨の折れる大変な作業だったと感じているが、どのように進めて来られたのか、是非お伺いしたい。
・不登校分析について、現状でどの程度で予測出来るかを検証している最中だが、今は数千から1万程度のデータで、変数も手に入る範囲の限られたものを使用している。
このため、予測精度を実用に耐えうる水準にまでもっていく際に、どの程度サンプルサイズを増やす必要があるか、変数に含まれる情報を増やす必要があるかの定量化と検証を行っている。
不登校は原因が多岐にわたり、色々な見えない要因にもよるので、簡単に観察できる変数だけでは予測を精度高く行うのは困難であり、あまり上手くいかない予測モデルや分析も出てくる可能性があるが、そうしたものも含めて幅広く公開していくことが重要。
・令和3年度のデータの分析結果の報告があったが、まずは先生方が日々直観的、経験則的に捉えていたものが下支えされるような結果となっており、意義がある。今後、更に研究が進められると思うが、データドリブンの部分と、現場の先生方の経験則を上手く融合させて、早く実運用させていただけると良い成果が出てくるのではないか。
そういうやりとりを通じながら、データサンプルも増えていき、先生方の判断にも役立つものが出来ていくことを期待したい。
・データベースを持続可能なものにするためには、便益を実際に関わっている方々に実感していただくことが大切。
児童生徒が直接的に便益を感じるのはやや難しい性質のものであるため、先生方がこのデータベースのメリットをどの程度感じるかが鍵となってくる。
また、今回のデータベースの範囲には教員情報が明示的には含まれていないが、そうしたものも紐付けが出来ると色々と分かってくることもあるのではないか。
また、ガイドラインについては、以下のような御意見を頂戴しており、これを踏まえ、修正したガイドラインについて年内を目途に決定し、公開いたします。
・個人情報保護については、委託先の管理も含めて対象となっている。
どう監督できるかについて、個別に協議していくといったような旨を記載することも必要ではないか。
「氏名等の単体で個人を識別することができる記述等を削除」という記載があるが、そのようにした時に委託先において個人を識別できるかどうかは、相手方にとって異なるため、先ほど述べた個別に協議をした上で、必要があれば更に踏み込んだ措置をお願いしたい。
・また、リクナビ事件における行政指導の内容に鑑みれば、重要性に応じて個人情報の管理の仕方を分けることが必要。
SOS情報や不登校情報は非常に重要度が高いので、管理の度合いを上げていくといった視点も必要となるのではないか。
・どこまでのデータをどこまで使うかによって、対応が異なってくる。
保存期間5年、卒業等に際しては削除、外部への共有は限定的に、とガイドラインに記載されているが、一部自治体では小中高大まで含めてデータベースを作ろうとしているという話もあり、今後教育データが使われる事例を集めて、それに照らしてガイドラインについても見直しをしていくことも重要。
・ガイドラインについては、色々な議論が有り得るのだと思う。
細かい所について、今書かれているものとは別の設定の仕方の可能性もあり、そういった議論も今後出てくると思われるので、公開する際には議論自体も並べて公開するのが良いのではないか。
例えばコメントやメタデータ、議論や批判など、他の自治体がガイドラインを作る時に、いくつかの可能な選択肢が見られるような形で公開できると良い。
・基本的な方針の「差別的取扱いの禁止等」「内心の自由の保障等」については非常に重要だが、どのように担保していくのか。
データが集まれば集まる程、色々活用したくなる誘惑が働く分野だと思うが、行き過ぎないように歯止めをかけるシステムなど、考えていることについてお聞きしたい。
・デジタル庁の実証事業ガイドラインでは、自治体の運用に降ろしていくのが中々難しいと感じていたところ、戸田市のこのガイドラインは、他の自治体のお手本、又はたたき台として発展する礎になるという意味で素晴らしいと感じた。
誰一人取り残されない支援の実現、さらには自立に繋がっていけることが結果として重要であり、研究者の力も借りながら、アウトカム評価の所まで行ってこそ成果だと考える。
不登校はやればやっただけ施策が生まれ続けていく性質のものだが、その積み重ねが現場の疲弊感にもなるし、焦点化が必要になってくることも有り得るかもしれない。
・卒業等に際してのデータの取扱いについて、法律に則って目的上必要でなくなった段階で個人情報としては破棄・削除することとなるとあるが、転入・転出があっても、その子が困難を抱えているという把握がされているのであれば、次の自治体に行ったときに幸せに生きているのか、支援が繋がっているのかということについて、少なくとも問い合わせがあった時に答えられるようにしておくことが必要ではないか。
中学生の所まで支援した子がその先どうなっていくかが見えなくなってしまうことが、引きこもりや就労困難といったもっと大きな社会問題になった時にやっと発見されるまで、データが引き継がれないと追いかけることが出来ない。
そういった意味で、今後踏み込んで検討いただけると有難い。
・今回のデータベースが、SOSの兆候が発見されないと次に結びつかない仕組みになっているように見える。
例えば貧困や虐待については要保護児童対策地域協議会であれば情報を掴んでいることもあるのではないか。
また、不登校については学校環境による部分も有り得るので、学校や教師の条件など、学校関係者全体のWell-Beingに関わる側面についても見る必要があるのではないか。
このような川下での政策に加えて、川上での政策、いかに不登校等を予防できるか、についても検討していく必要があると考える。
こうした教育分野を軸にしたデータベース構築は、全国でもほとんど例がないものであり、新たな挑戦をするごとに新たな課題が生じるといった、道なき道や獣道を切り拓いている状況も続いております。
データベースを構築すると言っても、その裏にあるのは先ほど述べた地道な作業です。
まさに私を含めた職員は傷だらけになりながら、一歩一歩、この獣道を進んでいるところです。
私としては、将来的には、本市での取組は本市だけのものとせず、他の自治体の参考となるよう、検討のプロセスや、成果や課題のみならず後悔や葛藤の部分も含めて、広く全国で共有したいと考えております。
そのように水平展開で政策波及する取組とともに、データ主体である個人のデータポータビリティやデータトレーサビリティの確保を通して、PDS(パーソナル・データ・ストア)のようなものを目指すなど、縦方向に深化する取組も研究していきたいと考えています。
3.学校経営ルーブリック(仮称)について ~学校経営を科学し、学校管理職のリーダーシップを向上させる~
次に、新たな内容として、学校管理職のリーダーシップ向上に向けた「学校経営ルーブリック(仮称)」について紹介しました。
前回のアドバイザリーボードで、授業・生徒指導を科学することに加え、学校経営を科学するという視点を示しました。
また、スクールマネジメントについて御意見を頂戴したことも踏まえ、今回、議論の材料を提示するものです。
◆資料2はこちら
学校を取り巻く課題が多様化・複雑化する中で、学校管理職のリーダーシップが、教育改革・学校改革の成否を握る重要な要素になっています。
また、本年の法改正により、いわゆる教員免許更新制が発展的に解消され、教員研修の履歴を蓄積する仕組みが創設されましたが、これを指導と管理ではなく、対話と奨励の仕組みにしていく上でもリーダーシップが重要です。国が策定した指針でも、マネジメント能力に加え、アセスメントやファシリテーションの重要性が謳われています。
人事管理の観点からは、任命権者である都道府県教育委員会が指標を策定することになりますが、より学校現場に近い本市としては、現在、教師の授業改善のために活用しているアクティブ・ラーニング指導用ルーブリックのような、学校管理職にとって日々の学校経営の実践を振り返るための視点(物差し・レンズ)をまとめたいと考えています。
またその際、学校現場からの意見を丁寧に聴くとともに、逐次改善を重ねていきたいと思います。
これに向けて、まず、市内全小中学校の校長、そして一部教頭から、学校経営に当たり重視している視点、学校経営上感じている課題、今後必要と考えるスキルや悩み事、について個別にヒアリングを行いました。
その概要が下図であり、いただいた御意見を、赤は学校経営全般、青は教育指導、緑は人材育成、橙は外部との連携、その他は紫と色分けして示しています。赤や緑、紫は一般企業のリーダーシップにも通じる部分がある一方、青や橙は学校に固有の側面もあると言えます。
例えば、赤の学校経営ではビジョンを持ち、自分の言葉で教職員に伝え、納得解を得ること。
青の教育指導では、子供を真ん中に置いた教育活動や子供の小さなSOSを見逃さないこと、
緑の人材育成では教職員が主体的に考え、行動できるような働き掛け。自分で気付くような機会を与えたいが、もどかしさもあるといった声もありました。
橙の外部連携では変えるのは内部だが、外部からそのための刺激やキッカケをもらうことも重要であること。
紫のその他では、「今までやってきたから」ということに対して疑いを持つことが挙げられています。
実際の資料は5頁にわたる大作ですので、是非上記URLからご覧ください。
アドバイザーからは、以下のような御意見を頂戴いたしました。
・校長等からのヒアリングを含めて大変興味深い取組が始まっており、今後どうルーブリックが作られていくか楽しみにしている。
その上で、特にミドルリーダーの置き方や校長のメッセージを複数回路で伝えていく際の組織要因がどうなっていくかについても検討出来ると良いと考える。
校長先生も、ご自身のリーダーシップがどのような特徴を持っており、どのような組織作りを行っていくか、他校との比較も含めて可視化できると良いのではないか。
この点については、参考資料の中で、海外の潮流でもトップダウン型のリーダーシップのみならず、リーダーシップは分配されるものという「分散型リーダーシップ」の考えが出てきていることについて触れております。
また、いわゆる「ヒーロー的な」リーダー像から脱却し、共にビジョンを醸成したり、質問を投げかけたり、聴き役・認め役に回ったり、他者に頼る、手放すといったリーダー像にもシフトしていく必要がある、といったことを学校管理職には日頃から伝えているところです。
こうした視点も踏まえながら、年度内に、ルーブリック(仮称)のたたき台をまとめていきたいと考えています。
4.戸田市未来の学び応援プロジェクトについて ~子供達や学校の「やってみたい」を応援したい!~
最後に、私がかねてから思い描いてきた「教育プロフィットセンター」の実現に向けた第一歩である「戸田市未来の学び応援プロジェクト」についても説明しました。
◆資料3はこちら
本市では「学校に伴走し、積極的な自走を支援し、逸走や暴走を軌道修正する」ことを教育委員会の基本姿勢としています。
そこで、今回、「戸田市から日本の教育を変える」をコンセプトに、学校発の夢のある学校改革等の提案を支援すべく、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングを開始しました。
概要については、お時間が許せば、我々が制作した2分強のPR動画を是非ご覧ください。
今回の取組は、ただの「打ち上げ花火」ではありません。
皆様から御寄附いただいた資金について、年度を超えて機動的に運用できるようにするため、「戸田市未来の学び応援基金」を新たに設置しました。
基金を設置するための条例は、先の令和4年9月定例市議会に上程し、可決されたところです。こうした検討も職員が急ピッチで進めてくれました。
また、我々の教育改革のコンセプトである「脱・正解主義」「脱・自前主義」「脱・予定調和」「脱・教師主導」「脱・3K(経験と勘と気合い)」といったことについて、その基金条例の「基本理念」として実際に条文化しました。
一見、過激に思える内容も入っておりますが、これは我々の未来の学びの実現に向けた決意の表れです。
この150年間続いた教育・学校の「当たり前」を問い直すことは容易ではありません。関係者がこうしたビジョンを共有し、人・モノ・カネを集めるのみならず、価値観をアップデートしていくことが「急がば回れ」であると考えています。
アドバイザーの方々からは、以下のような御意見をいただいたところであり、今後更に取組を進めていくとともに、成果と課題を様々な機会で発信していきます。
・クラウドファンディングについて大変興味深く拝聴した。
ふるさと納税についてひと手間かかった印象があるので、そこの負担も軽減されるとより良いと考える。
・とても素晴らしい取組である一方、起きるかもしれないこととしては、1000円でも人は寄附すると監視の目も厳しくなるということがある。
NPOではコンプライアンス上体制を整えて対応しているが、学校に問い合わせが殺到するような事態になっては意欲が削がれてしまうおそれもあるので、守る仕組みも行政として考えていく必要がある。
現在、既に50万円を超える寄附が集まっているとともに、様々な分野の著名人からの応援メッセージも多数頂戴しており、この反響に私自身も大いに勇気づけられているところです。
◆応援メッセージはこちら
この取組は戸田市だけのものとはせず、全国に横展開(政策波及)していきたいと考えております。
個人なら税額控除、法人なら損金算入が可能となっておりますので、是非幅広い方からの御支援、御寄附をお願いできますと幸いです。
◆御支援はこちらから
5.ファーストペンギンとしての挑戦に引き続き御注目ください!
このアドバイザリーボードの議題はいずれも、本市教育委員会が「ファーストペンギン」として挑戦している施策です。
どうも教育委員会や学校という所は、閉鎖的で、現状維持を好み、変化を嫌う。そういった印象があるように感じています。
私は市井の教育長という立場ではありますが、そうしたイメージを壊したい。教育委員会でもやろうと思えばここまで出来るんだよ、という1つのモデルを示したい。
そう兼ねてから考えてきました。
現在、他の自治体等から日々沢山のお問合せや視察等の御依頼をいただいております。
そこでは個別の取組のみならず、必ず教育改革のビジョン、全体像も含めて私や職員から紹介させていただいております。
本市の施策はまだ緒に就いたばかりのものも多いですが、ここで生まれた種がやがて様々な場所で芽を出し、そして花を咲かせてほしい。
そうなることを強く願っております。
今後とも引き続き、戸田市の教育改革への挑戦への御指導、御支援の程よろしくお願い致します。
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