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禅の言葉を書き初めに〜暮らしをととのえるお寺のおはなし〜

文由閣で不定期開催している寺カフェ
そこで「一言写経」をしています。参加者に「人間関係」や「前向きになりたい」など悩みの種類を選んでいただき、悩みに呼応する短い禅の言葉をお坊さんよりご紹介。その説明に「なるほどな」と感じていただいたところで筆と墨を取り出し、小さな半紙に記すというもの。これまで「ほっとする言葉」がよく選ばれるということです。

いざ書くとなると「久しぶりに筆を持った!」と仰る方が多いのが印象的。御塔婆や御朱印への書き込みを日常的に行っている僧侶と異なり、多くの方にとって毛筆に馴染みが薄いのは無理もありません。

パソコンやスマートフォンで文章を書くことに慣れた今、筆と墨で「書く」行為は、他にはない様々な特徴があるように思います。まず、一字一字に集中が求められること。とめ・はね・はらいなど統制された行為をやり遂げることが挙げられます。さらに写経や習字ともなれば、手本をしっかり見ることに加え、自分の字体を手本と比較し良悪を自覚・判断し修正することが求められます。

これらの結果として、写経や書道をすると緊張が解け、リラックスするらしいのです。寺カフェの一言写経も、筆書きすること自体がほっとする気持ちに繋がっているのかもしれません。

年末年始に行う毛筆といえば、書き初め。最後に取り組んだのはいつかしら、という方もこのお正月は筆を手にしてみてはいかがでしょうか。

書き記す言葉は新年の志でもよいし、禅の言葉を調べて選んでみるのもよいでしょう。心の支えになる言葉を大切に書き上げて、新たな年を始めましょう。

『萬亀』No.144(2023年12月号)より


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