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「赤いきつねと緑のたぬき」 - 誰に向けたCMか
テレビはニュース関連と、映画などをオンデマンド配信で見るときに使うことが多いので、いわゆる「テレビCM」なるものの話題には、まったく疎い。そのためネットで話題になっているという東洋水産のCMが、ほんとうに気持ち悪いものなのかどうなのかについて、知らずにいた。
先ほど、ちょっと見てみたのだが…。
これは誰に向けたCMなのだろうかと、まずは客層を考えてしまった。もし女性に食べてほしいと思っているのであれば、緑のたぬきはともかくとして、「赤いきつね」のあれは作らないだろう。
商品を売りたいと思っているか、誰に食べてもらいたいと思っているか。
話は80年代後半にまで遡る。惜しくも2012年に他界されてしまったバイリンガルなタレント山口美江さんがいきなり有名になったのは、「しば漬け食べたい」のCMである。
子供時代からインターナショナルスクールに通ってのち上智大学に進み、語学が堪能だった山口さんが、テレビ朝日のCNNデイウォッチで日英の言葉をまじえながらニュースを紹介するのを見て「この人は誰」と世間が驚いたのとほぼ同じタイミングで、あのCMがお茶の間に流れた。昼間は化粧をして会社でバリバリ働く女性が、帰宅すると同時に化粧を落として、すっぴんでしば漬けを食べるのである。
あれこそが、あの時代の視聴者の求めていたものだった。昼間はバリバリ働く、でも疲れる、ああしば漬け食べたい…あれが、世の中の人(多くの場合は女性)を驚かせ、とりこにした。「あっ、こういうCMありなんだ」と。
今回の緑のたぬき、赤いきつね、どちらのCMも「誰に向けたものか」の客層確認と、消費者に食べてもらいたいのか、アニメでCMを作ってみたかったのかの問いかけを、社内でもされたらいかがかと思う。
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