デルタの個性
デルタ変異についてこんな話が流れてきます。
・感染力が強い
(感染者増加率とCt値が小さい事より)
・重症化はしにくい
(重傷者の数が比率で小さい)
・二回接種しても感染する
(事実とCDCアメリカ疾病対策センターの報告より)
これについては誤解があります
・感染する力が強いという誤解
・重症化しないという誤解
・接種の効果が全くないという誤解
です。なお、私はワクチン接種をしないと決めていますし、お勧めはしません。タイトルの通り、違いはそこではないと言いたいのです。
特に感染は防げないけれど重症化しないから大丈夫といった心理になってしまうと大変危険ですし感染した際の体の損害が大きいです。とにかく防御して下さい。
別の言い方をすると、デルタの特異性を正しく理解して防御の方法を見直す必要があります。(こういった根拠に踏み込まない噂話レベルの理解ではなく)
今まで記事にして来ましたが、もう一度振り返りたいと思います。
感染力が強い
感染力が強いという主張は、実際に感染者数が伸びている(明らかに伸びており勢いがある)事、その中でデルタが多く検出されている事から推測されています。
表現としてははしか並み、みずぼうそう並みなどと言われます。
これについては事実そのままで感染は広がりやすいのでしょう。しかしウィルス自体が突然これほど感染する力を身に着けるものでしょうか?
より手の込んだ物言いが好きな方や数式を礼賛されている方はCt値を引き合いに出します。自身で計算して過程と諸元を披露されたりします。
Ct値というものが間に入る事で、受け手からは是非が分かりにくく、与える側からは専門用語使っていますとアピールの材料を導入できる訳ですが、素人考えというものです。
まず感染する力が強いかと言われると強くはありません。なぜかと言えば、後述しますが重症化しにくいと言われるからです。強い感染力を獲得していれば確実に重症化します。
細胞の中に入って行く力が強いとか、増える速度が速いという事でもなさそうです*1。
次にCt値ですが、こういった言葉が出て来た時は意味に遡ります。この数値はウィルスの検査をする時に、微量のウィルスから検出できるまで(培養?して)増量する繰り返し数の事です。
少ない繰り返し数で計測できたから、元々のウィルス量が多かったのだという事です。つまりウィルスが増える力が強いのだと。
一見、正しそうですが間違っています。
重症化しにくい
重傷者の割合が小さいから重症化しにくいという事ですが、実際には重傷者は増えています。
重症化しないと言われるとただの風邪のように感じますが、そんな甘いものではないので誤解は命取りです。
(大した事はないから慌てないように、という発信者の作為は感じます)
二回接種しても感染する
これも事実で、感染者の多くに二回接種した人が含まれました。日本でもクラスターで事例が増えています。
一方で虚偽性があるのは、デルタが未接種の人が多い地域で急拡大しているという話です。事実です。アメリカでの状況です。
しかし間違っています。
まず、重症化しにくいのは二回接種したからと考える事ができます。全く無意味であれば重症化する筈です。
未接種の人が多い地域で急拡大しているのはデルタのせいとは限りません。たまたま現在流行っているデルタが猛威を奮っているせいかもしれません。特に感染速度が速いとなると、ひときわ目立ってくる筈ですが、裏で他の変異が進行していないとは言えません。
それではデルタとは
完全に解明はされていませんが、デルタは鼻腔内で感染するという報告があります。鼻腔内部で測定してみたらウィルス量が多かったそうです。鼻水で防護された粘膜細胞に感染しやすい特徴があるという事かと思います。
これで全て説明できます。
まず感染力の強さですが、マスクをして呼吸をするなど多くの人が口を開かないよう気をつけるようになっています。口が感染経路とすりこまれてしまったからです。
逆に呼吸は鼻を使う割合が増えています。
デルタの場合、鼻で増えますから、呼気のウィルス量が上がり、周りの人が濃いウィルス濃度に曝露しやすくなります。
また、感染経路の入口で感染しますから体内に入って行くまでの時間が短縮されます。肺炎などと比べると発症までの速度が速いことになります。この速度の違いを感染力があると勘違いしています。
Ct値が不適切なのは、検体を採取する場所に依存するからです。
検査の際、体中を検査してウィルス量を調べるのであればCt値で感染力云々語れるかもしれませんが、デルタは検体接種する上気道でウィルス量が多い訳ですから何度も増殖しなくとも計測できるのは当り前です。
仮に他の体内から取った検体を調べたら他の変異よりCt値が上がる(ウィルス量が少ない)のではないでしょうか。
PCR検査にせよ、Ct値にせよ上気道や口内から検体を取りますので、症状の一部しか見ていません(最初から肺炎になると決めつけていますが、例えば胃腸感染が陽性になりません)。これで全体傾向やウィルスの性質を特定するのは無謀な上にミスリードにしかなりません。ほんの一端を垣間見たくらいでウィルスをすべて解明したかのように語るのは飛躍しすぎです。特に肺以外の内臓でどのように感染して行くかほとんど分かっていません。
逆に因果関係不明とされる亡くなった方々は、体内のウィルス量を調べていないので因果関係が分からなかったのだと思いますが、調べていたら臓器などでウィルス量が高濃度になっていた可能性が高いと思われます。これは、先日ドイツで病理解剖論文が発表された際に明らかになりました。特に接種による影響が懸念されています。
重症化しにくいというのは嘘で、別の言い方をすると重症化する前の段階で陽性が発覚するという事です。ウィルスが鼻腔から肺に移動しますので、放置すると肺炎に発展したり、他臓器で感染が始まります。重症化するまで時間がかかる(他の変異と同じ)だけなのです。別の言い方をすれば早期発見、早期治療が可能な変異だと言う事です。
ウィルスの毒性が弱い訳ではないと言う事です。あたかも重症化しないなどとアナウンスすると安心する人が出て危険です。
分かり易く言えば、初期に感染が広がる場所が肺などの重要臓器でないから、発見時点での重症化が少ないように見えるという事です。
ですので、二回接種しても感染するというのは、接種が全く意味がないという事ではありません。
なぜ感染するかと言えば鼻腔内での抗体濃度が低いからです。体の中では抗体濃度が高くなるので、重症化に抵抗する事ができています。
なお、もう一度書きますと私はワクチン接種はお勧めしません。
ですが接種に全く効果がないとは言えません。
まとめ
・デルタは強い感染力を獲得している訳ではないが、感染までのアクセスが速いので広がり易い
・デルタも他の変異と同様に重症化するので甘く見るのは危険
・デルタであっても接種の効果が全くない訳ではない
・デルタを予防するためには、今までのやり方では駄目
花粉症の点鼻薬(アレルゲン破壊、抗アレルギー、抗体)などが有効
・うがい薬を使い鼻のうがいをする
・鼻だしマスクの人には近寄らない
・食事の際は花粉症グッズなどで鼻をブロックする
・ワクチンは日本では塩野義がライセンスを受けた鼻ワクチンが期待できる(鼻腔内での抗体量が上昇する)
・抗ウィルス薬は舌の上で溶かして服用すると、上気道の薬剤濃度が上がってデルタに有効(私はこうして防護しています)
*1
体内で急激に増えるという主張もありますが根拠は不明で、出典とされるCDCの文書にもそれらしい記述はありません。
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