忍者修行は精神年齢を上げたり下げたり。
平日の休日。
この特別感、甘美な響き。
世間の皆様が頑張ってるうちに、我が物顔で街を闊歩する。
なぜなら休日頑張ったのだから!
運動会の振替休日の話です。
娘と、娘のお友達を連れて、振替休日、ちょっと遠出しないかという話になった。
もちろん、お友達のお母様には了承済み。
どこへ行きたいかリストに、東映太秦映画村を仕込んでいた。
はるか昔、4、5歳頃、怪獣が出てくる池で散々泣いた思い出がある。それは実家のアルバムに「とき子が大泣きしました」と母の字で書かれており、父の足にしがみついて泣く私が、割としつこめに収められている。
大人になって、もう一度映画村に行ったら、あまりにも小さい怪獣でびっくりした。
娘たちにそんな話を聞かせても、いっさい興味を持ってもらえなかったが、数々の忍者体験やアトラクションがあることに食いついたので、さて、それじゃ、平日の映画村満喫体験と行きましょう!となった。
駅まで自転車、乗り換えは3回、1時間半ぐらいかかると思うよ。
自分達で、何時に出るか、どこで乗り換えるか全部調べて提出ー!
と、先生を気取って行ったら、朝7時半に家を出るスケジュールを組まれた。
平日の出勤ラッシュ狙うなや。
その上、入村料とアトラクションパス、ランチ、おやつ、お土産など、いくら持っていけばいいか計算してごらんと言ったら、1人1万円を提示してきた。
ちょっと待て、村での遊び方が豪遊すぎぞ。
黄門様だってもうちょっと倹約してる。
結局、なんやかんやと訂正させてもらった。
そして、映画村へ入村してすぐだった。
でっかいエヴァンゲリオン初号機がいる…!
いや、いることは知っていた。知っていたんだけど、実物を前にしたら急に興奮してきた。
「ざーんーこーくーな天使のテェゼ!まっどっべーからやがて飛び立つッ!!」
脳内がオープニングに支配され、空いているのをいいことに、朗々と歌い出す母。
「ちょっとー!!シンクロ率が測れるんですってよー!娘たち!母さんのシンクロ率、70とか出ちゃうと思うーーー!!」
もう、娘たちがびっくりするぐらい反応しない。
「へー。シンクロ率高いとどーなんの?70ってビミョー」
「おま、シンクロ率高くなりすぎると危険だってミサトさんが言ってたぞ!腕もげちゃったりすんぞ!!」
「なんの話www」
常時このような温度差のまま、エヴァの操縦席に乗らせていただく。
母さんのシンクロ率、約20%、娘友30%、娘40%
なんじゃい。あんなに歌ってやったのに結局年齢かよエヴァさんヨォ…。
やさぐれる母。サービスせんぞ。
その後、アトラクションパスを使用して、娘たちはどんどん忍者になる。
母もアトラクションパスを買ってしまったものだから参加したが、どえらいコースの迷路をよじ登ったり潜ったり挟まったりさせられ、レーザー光線を避ける体験では、1人レーザーに当たり散らし「曲者!!」呼ばわりを何度もされる。
カラクリ屋敷では、年の功で「ここ押すんじゃない?」と押した場所がことごとく当たってしまい「お母さんはやらないで!」と怒られた。すんません。
平日だから空いているかと思いきや、運動会の振替休日が多かったのだろう、小学生がたくさんいて、迷路の中で「出られないー!」と騒いでいたら、男前な少年2人が「こっちから回ると出られるぞ!」と何度も教えてくれて、娘たちと小さな恋が芽生えそうな、なんとも言えない距離感になって母さんはとても興奮した。
アトラクションを終えた後も、何度か村内で遭遇する彼らと小さく手を振り合う彼女らに「もうダブルデートってことにしちゃえよ!」と言ったら「いや、アトラクションの中だから楽しく感じるんだと思うよ?」と冷静に言われて、なんそれ、リゾラバってこと?と。
母さん、小学4年生にだいぶ置いていかれている感ヒシヒシ。
それから、「鬼滅の刃」のイベントもやっていて、もれなく興奮する母に、またもや娘2人が割と冷静に「見ても見なくてもいい」とか言い出して、なぬ!?お前ら鬼滅大好きやないかい!!と言ったら「好きだけど、アトラクションがいい」というので、結局、彼女らは山へアトラクションに、婆さんは川へ鬼狩りに、みたいな流れとなった。
鬼滅の刃コラボは、主に写真を撮って楽しむものだったので、サーっと一通り見て、彼女らの帰りを待ってからもう一度「禰󠄀豆子の箱とか入れるけど、いいの?」と促してみたら、最初は「入ってやってもいいけど?」みたいな顔をしていたくせに、いざ、写真を撮り出したら、『箱に収まる禰󠄀豆子』『箱の上から切られる禰󠄀豆子』など散々キメポーズをし、その後1回600円もするくない投げまで堪能していた。
ちょっと大人ぶってみても所詮小学生よのうー!!フォッフォッフォ。
ラストは、天空クライミング忍登というものがあって、別途お金がかかるのだが、娘たちがどうしてもやりたいというので、チャレンジさせてみることに。
それは7メートルもの高さのクライミングをするもので、ハーネスを取り付けて安全指導から始まるもの。
marmaladeさん曰く、レンジャーものです。
「いやこれ、ビビりの娘たちには無理やろう」
そう思っていた。
案の定、最初のうちは2メートルぐらいのところで「怖い…これ以上無理!」とか言っていて、
「おいおい、これで無理だったら、他の何も登れないよ」と、下から好き勝手なことを言う母。下からと上からでは、景色が全然違うということはある程度予想がつくが、まぁ、想像以上の怖さだろうな。
ところが、子供というのはすごいもので、何度か挑戦し5分10分と経つごとに、だんだん高さへの恐怖心が薄れて行っているらしい。
最後には、2人同時に、7メートルの高さを制覇していた。
ブラボーーー!!
やっぱり、子供は子供同士だな、ととても思う。
1人でチャレンジしていたら、きっと登れなかっただろう。
降りてきた2人は、誇らしげに顔を蒸気させて「楽しかったー!!」と笑った。
大人ぶってみたり、小さな子供に戻ったり。
まだまだクノイチには遠そうだけど。
そんなに急いで大人になるなよ。
子供らしく、一個一個体験して、一喜一憂して、リゾラバはそれからってことでよろしくお願いしますと、母は思うのでした。