【詩】フィクショナルな存在証明
僕は息を吸うたびに嘘を吐く。
僕の人生は偽りの連続だった。
より良い自分を演じるために嘘をついているつもりだった。
僕の嘘は栄光を通り過ぎて虚栄にたどり着いていた。
人間の存在はフィクションだと彼は言っていた。
僕もまたフィクションなものなのだろうか?
僕の目、指、耳、頭はたしかに存在する。
僕自身の存在はたしかにフィクションだった。
ほんとうの僕自身が存在することを僕は証明することができなかった。
僕の存在がフィクションであるなら、それを嘘で塗り固めようじゃないか。
嘘で塗り固めた僕が僕自身ではないと誰が証明できるだろうか?
僕は今日も嘘をつく。
嘘をつくことでしか、僕は僕自身の存在を感じることが出来なかった。