【詩】愛と屍
彼は精神的な不能者だった。
そのために性と愛を同一視した。
性的欲望の伴わない愛は幻想だと考えた。
僕は彼の思考が間違いであったことを知っている。
彼と彼の思考のあとを辿った者たちはいずれも不幸だった。
彼自身は後にアルコール中毒に陥った。
追随者の多くは絶望にいたり、ある者は自害した。
性的欲望の伴わない愛はたしかに存在するものだった。
彼らは精神的に不能であるがゆえにそれを認めることができない。
彼らはみずからを憎み、他者をも憎んでいた。
愛の不在は愛することができないことから始まる。
おそらく愛は実在しないとする彼らの主張も。
君と僕は彼らの屍を乗り越えねばならない。
愛を正当に主張し、世界に灯りをともそう。
思いやりと慈悲を持って行動しよう。
そのとき、僕らの世界は愛で満たされる。