【詩】取り残された人びと
超人が生まれた。
人間を超人化するために人間が産み出したものだった。
人間は超人化することを拒否した。
あくまで人間であり続けることに執着した。
超人化を受け入れた人間はすでに人間ではなくなっていた。
恐れと憎しみはやがて排除の欲求に変わった。
超人の前では人間の使う道具は無力だった。
街が跡形もなく消えた。
煙と灰がまきおこり、荒地が残った。
人間は痩せこけた大地に小さな陣地を作った。
寒さと飢えをしのぐための囲いに過ぎなかった。
100年が過ぎた。
超人の住む街と文化が生まれた。
再び神と貨幣が産み出された。
人間は超人から猿と同じものとして扱われた。
超人にとって猿と人間を区別する必要性はなかった。
廃墟の中で生き延びた人々は、ただ日々を耐えるだけだった。
泣きながら祖先がどれだけ繁栄していたかを語り継いだ。
そしてひたすら超人の目に触れないよう祈りつづけていた。
ーー超人化を拒否した人間は置き去りにされた。
人間の退化は選択の結果だった。
存在の連鎖はこのように起きる。
おそらくは、これからも永遠に。