【詩】超人
彼が棒を振れば球はどこまでも遠くへ飛んでいった。
彼が球を投げれば誰もとらえることができなかった。
彼が走れば誰も止めることができなかった。
彼は次第に超人と呼ばれるようになった。
彼の悩みは球をうまく飛ばせないこと、うまく球を投げれないこと、うまく走れないことだけだった。
彼は多くの喝采を受けた。
同時に彼は孤独だった。
けれども孤独は彼を苦しめない。
彼は孤独を受け止めた上でどこまでも天に近づいた。
彼は人間の作った神の裁きを受けない。
周囲の裏切りも彼の上昇を妨げなかった。
彼の頂上はどこまで上に進んでも見えなかった。