【詩】世界でいちばん地獄に遠い人
どんな時にもどんな意味においても幸福な人間はどこにも存在しない。
けれども僕らは求めてしまう。
どんな時にも、どんな意味においても幸福でありたいと。
この不当な要求を神々は聞き入れない。
その罰として僕たちの不幸は出現した。
君は「人生は地獄よりも地獄的だ」と言い放った。
けれども君は他の誰よりも地獄から遠い存在だった。
君にとってこの世の生活は耐え難いものだったのかもしれない。
けれども君は服毒することも入水することもなく一生を終えた。
君はかつて存在した誰よりも神々に近づいていた。
君の名は今でも語り継がれている。