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病気の始まり

文字が読めなくなった。

それが完全に私はおかしいのだと自覚した瞬間だった。


それまでにもかなりの倦怠感や集中力の低下は感じていた。しかしそれは単なる疲れだと思いこんでいた。

それまでも多忙を極めていたし入社以来ずっと続くパワハラ、頭のおかしい経営者の世話、信頼できる部下の退職。そんなことが続いていたからだ。

だが文字が読めない経験は初めてだった。

理解できない言語を目の前に差し出されているような感覚ですぐに放り投げたくなる。
これは病気だ。
そう思って心療内科を予約した。


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