コーヒーで世界をめざす

スペシャルティコーヒーには、大きく分けて三つの世界大会がある。

テースティング能力の腕を競う
ラテアートの腕を競う
コーヒードリップの腕を競う

テースティングは味覚が良ければなんとかなる。コーヒーのドリップの腕も、自分用のコーヒー器具であるドリップポットとドリッパーがあれば、なんとかなる。野球やF1などとちがい、特殊な道具や巨額な費用はいらない。スペシャルティコーヒーをつきつめる気さえあれば、世界戦に挑むことは難しいことではない。

地域おこしや人口増加策で、こういう人目につくことをやろうという動きはどこにでもあるし、やっているとおもうが、コーヒーで世界を目指すという考え方を取り入れているところは皆無。僕は狭山で世界を目指す人材をしれっと輩出する環境を持ちたいと考えている。

とはいえ、味覚がいいだけでは、ドリップの腕がいいだけでは世界を獲れない。スペシャルティコーヒーは毎年新しい品種やフレーバーがリリースされ、めまぐるしくトレンドが変化していくわけで、それにアンテナを張り、最適な手法で高評価を得る体制を整えないといけない。

その突破口となる策が、狭山で「競技候補人口」の「分母」を増やすことだと思っている。スペシャルティコーヒーを飲む人口密度を増やす。そこからコーヒーのドリップやテースティングにハマる人数を増やす。コーヒーに対するアンテナが狭山の中でぽつぽつと立ちはじめ、ゆるコーヒー会への参加率増加でそれが加速される。遊びを通じて知らないうちに切磋琢磨され、気が付くと日本チャンピオン程度のドリップやロースト、知見におどろかなくなるマインドと味覚が備わっている。

僕は墨田で4年ちょっと活動したけど、この手法でコーヒードリップの手練れを6人作った。彼ら彼女らはコーヒー業界の人ではなく、単なるコーヒー好きのサラリーマンや自営業者やアーティストや社長だった。大イベントに駆り出してコーヒーのドリップ担当をしてもらい、大量のお客さん相手に高いクオリティのコーヒーを提供してもらう訓練もした。彼らが師範代になり、コーヒーのイベントを盛り上げた。転勤などで半数が地方に出て行ってしまったが、コーヒーを楽しむことはずっと続いているし、そこに遊びに行けば現地でコーヒーのイベントを立ち上げることが簡単な状況になっている。
クオリティはともかく、ゆるコーヒー会参加者はたくさん地方に散らばっていて、僕はその数をじわじわと増やしたいとも考えている。僕らの考えるコーヒーの良さを、彼らを通じて広めていく。文字通りコーヒー好きの分母を増やして、世界に挑む下地を作って行く。

その基地が狭山市になるのだろうか。それは地元の協力次第。


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