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「五色の糸」解説【微春機発動展出展作品】


「五色の糸」

本日3月20日から3月24日までデザインフェスタギャラリー(原宿)、4月4日から4月7日まで高岡市美術館市民ギャラリー(富山)で開催される公募展「微春機発動展」(主催:桜哉さん)に上のイラストを出展させていただいております。

https://twitter.com/sky_cos236/status/1751234758997357050?s=46&t=4q1aCKwX9_5EMH2s-JDxaQ

この記事では自分の心情の記録も兼ねて、今回のイラストについて解説します。作品鑑賞の助けとなれば幸いです。
結構長くなってしまいましたので、興味のある箇所だけご覧ください。


タイトルの意味

「五色の糸」とは仏教の一部宗派で使われる言葉で、臨終の時に仏像の手から自分の手に掛け渡す五本の糸です。

ごしき‐の‐いと【五色の糸】
青・黄・赤・白・黒の5種の色をした糸。念仏者が臨終のときに阿弥陀仏の像の手から自分の手に掛け渡した糸。この糸によって極楽浄土に導かれるとされた。

デジタル大辞泉より引用

引用では青・黄・赤・白・黒と書かれていますが、これは昔の色の言い方なので、今の言い方なら緑・黄・赤・白・紫となります。
今回「救済」をテーマにした作品を作る際に、桜哉さんは糸を作品に用いるときがあること、そして子供の頃読んだ歴史漫画に五色の糸の話(藤原道長の臨終だった気がする)が描いてあったのを思い出し、今回の作品に取り入れました。

テーマ

今回の作品のテーマは一言で言うと、

「自分を救済できるのは自分だけ」

ということです。

構想メモ

これは桜哉さんの表現する「自己征服欲求」から感じたことです。また、宗教に興味のある私が、その歴史や背景に思いを馳せる度に感じていることでもあります。
最も信じられるのは自分であり、たとえ人から手を差し伸べられたとしてもその手を取るのは結局は自分だと私は思っています。信仰を持つ人は信仰対象(神など)に救われているのではなく、信仰を持つ自分に救われているのです。
今回の作品では、「救済を求める思春期」と「救済を求める宗教」を重ね合わせました。また、僧侶や修道女や新興宗教の信者が着るお揃いの服と学校で生徒が着る制服は、どちらも心を隠すものであるという点が似ていると思い、絵の中の二人に学ランを着せました。これは私が学ランに宗教性を感じたということでもあります。
そして差し伸べる手と祈る手には五色の糸を描き、救済を表現しました。

桜哉さんの作品の解釈と再構築

今回は公募展のテーマが【桜哉】ということで、公募展参加にあたって桜哉さんの作品を改めて見返しました。また「桜哉の地獄と耽美のすゝめ」(構図解説集)なども改めて読み、桜哉さんがどのような想いをどのような形にしたのかを再確認しました。
このようにして桜哉さんの作品を自分なりに解釈してテーマを決め、自分の絵の世界に落とし込みました。

今回の作品では、桜哉さんの作品における世界観を統一するための決まり事(「桜哉の地獄と耽美のすゝめ」より抜粋)のうち
・顔を隠す
・必ず日本的な要素を入れる
という点を取り入れました。
また桜哉さんの作品を構成する要素の一部である「宗教的要素」「制服」を絵の中に取り入れつつ、「昔↔今」「伝統宗教↔新興宗教」「電子↔物質」といった対称的な要素も盛り込み、デフォルメされたシンプルな線で描く自分の絵の世界へと落とし込みました。

まとめ

今回の作品のキャプションはこう書きました。

制服と信仰と、そして自己征服欲求に敬意を。

絵の中の二人は同一人物です。私であり、桜哉さんでもあり、作品を見た人たちでもあります。
実際私も、「救われてえ〜!!」と心の中で言いながら描きました。
しかし自分を救済してくれる、自分を救済できるのは自分だけです。それを私なりに表現したのが今回の作品になります。

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