福祉の話: 障害者施設の夜勤のルーティン
入所型の障害者支援施設の職員、生活支援員として働き始めて2年目になる。1年目の8月頃から夜勤に入り始め、先輩と数回入った後、一人で夜勤をするようになった。
自分がやっていることのアウトプットと備忘録を兼ねて、ところどころ個人の感想を入れつつ、勤務体系や業務の流れを記します。施設が特定できない程度に内容をぼかしているのをご了承ください。
勤務体系とフロアの構成
勤務先には、早出・日勤・遅出・夜勤の4種類がある。夜勤は17時出勤、翌朝9時退勤。
書類上の拘束は16時間で、うち2時間が休憩になる。休憩の取り方は職員に任されていて、その場の状況に応じて取れそうなときに取っている。
私の勤務先には夜勤専従のスタッフはおらず、パートや派遣の職員が日中に入り、正職員には月に3~4回の夜勤が回ってくる。
夜勤が明けた次の日は休み。
男女で階が分かれていて、一つの階におよそ25名+夜勤職員が1名ずつ、ショートステイで1~2名が加わることがある。休日は帰宅する利用者もいて、人数は日によって少し違ってくる。
知的障害のある利用者を受け入れていて、身体的には自立している方もいたり、車椅子に乗っている方もいたりする。
業務の流れ:夕方
17時 出勤
日勤の職員から引き継ぎを受けて、日中の出来事や利用者の体調を聞き取る。この時間にトイレが済んでいない利用者がいれば、引き継ぎが済みしだい介助に入ることもある。
17時半 夕食・歯みがき・更衣
日勤の職員が帰った後、遅出の職員2人と一緒に夕食を配膳する。
夜勤の職員には検食があり、利用者と同じメニューを食べて、味や見た目、食べやすさを検食簿に書き込む。
18時半 服薬・トイレ介助
夕食後の薬を飲んでもらい、リハパンやおむつを交換する。夕食後に居室のベッド上で過ごされる方もいるので、ベッドに移乗して電気や空調を調整する。
19時 階段の施錠
遅出の職員が帰った後、階段の前の扉に鍵をかける。翌朝7時に早出の職員が来るまでは、一つの階を一人で担当することになる。
業務の流れ:一人夜勤
20時 服薬
起きている方にはお茶を提供し、寝る前の薬を飲んでもらう。フロアで集まってテレビを観ている方もいるし、既に居室で眠っている方もいる。
21時 消灯
夜のチャイムが鳴ったところで、フロアの照明とテレビを消す。
ここからは基本的に支援員室で過ごして、パソコンで利用者の記録をつけたり、日中活動や行事の書類を作成したり、まとまった時間が必要なことを済ませる。
2時間おきに巡回があるほか、居室のセンサーマットが鳴ったり呼ばれたりすればそのつど対応する。
テープ式おむつを使う方が数名いて、巡回の時間にベッド上で目を覚ましていれば「おむつを替えましょうか」と声をかけることもある。
昨今では吸収力の高いパッドがあるし、熟睡しているところを夜中に起こして交換することは少ない。起きていれば交換する、ぐらいの心持でいる。
適当なタイミングで夜食を摂ったり、仮眠したりする。夜食については後述。
支援員室には折りたたみベッドがあるけれど、私はあまり使わず、椅子に座って目をつぶることが多い。深く眠るとなかなか目が覚めないし、物音に気付かないと困るので、目をつぶって少し休む程度にしてる。
夜明け前に支援員室で歯を磨くのがいつもの流れ。
業務の流れ:夜明け
5時半 離床介助
介助の必要な方から順に、朝の声掛けをして、トイレと更衣の手伝いをする。便失禁があれば陰洗をしてきれいにする(ボトルにぬるま湯を入れて陰部を洗う)
軟膏を塗ったり目薬をさしたりするのもこの時間。洗濯物を回収して、尿で濡れたものは汚物用の洗濯機に入れる。
フロアのカーテンを開けてテレビをつけ、階段の鍵を開ける。
7時 早出への引き継ぎ
早出の職員2名が出勤し、支援員室で引き継ぎをする。
早出の職員が来るまでに一通り済ませて、朝一で引き継ぎできるのを目指してるけど、なんだかんだで時間が飛ぶように過ぎてしまう。
引き継ぎで「誰それさんがまだ寝てる」「ポータブルトイレの掃除が残ってる」と伝えるのがいつも申し訳ない。
7時半 朝食・歯みがき・服薬
早出の職員と一緒に朝食を配膳する。夜勤職員には朝食が出るけれど、朝は慌ただしいので、飲み物だけもらってパンは持ち帰ることが多い。
夜間帯のケース記録をまとめて、その日の日誌を印刷する。
9時 全体の朝礼
施設長が出勤する平日は、9時過ぎから男女共同の朝礼がある。日勤の職員と一緒に参加して、昨日の出来事を報告し、一日の仕事を終える。
ここからは余談です。
余談① 夜食
夕食と翌朝の食事は施設で食べているが、夜中に起きている時間が長いので、各自で軽食を持ち込むことが多い。
単純に楽しみなのもあるし、かつて先輩から、万一の対応に備えて、空腹のまま過ごさずエネルギーを補給したほうがいいと教わったこともある。
最近はスーパーの冷蔵のそばを食べている。冷たいそば玉と温泉卵、麺つゆとわさびが使い捨て容器に入ったもの。
日付が変わる頃に冷たいそばを食べて、明け方に甘いコーヒーを飲むのが最近のルーティン。
余談② 空き時間の過ごし方
利用者が穏やかに眠っていて、作るべき書類もないとき、空いた時間が生まれる。利用者に迷惑がかからず、コールや物音にすぐ気づいて動ける範囲なら、わりと自由に使える。
図書館で新書を借りて行って、空き時間に支援員室の椅子に座ってページをめくることがある。騒音が出ないし、物音を聞くために耳を空けておけるのも良いところ。
余談③ 明るい廊下
深夜の巡回について。
ホラー映画では薄暗い廊下を懐中電灯を持って回ったりするが、実際には廊下の電気は一晩中ついていて明るく保たれている。
夜中に起きてトイレに行く利用者もいるので、足元の安全のためにも明るくしてあり、映画みたいに不気味なことはない。
他の職員から心霊の話を聞くこともあるが、私は霊的なものに疎く、心霊やおばけへの恐怖心は少ないほうだと思う。
どちらかというと、夜勤中の地震や利用者の救急搬送、外部からの不審者の侵入などを怖れている。
過度に不安になることはないが、夜勤で働く=万一なにか起きたときに行動する責任がある、というのは頭の片隅に置いておきたい。
そういうわけで、朝にカーテンを開けるとき、地震が起きず、救急車を呼ぶこともなく、外から刃物を持った人間が侵入してくることもない「いつもの朝」を迎えられたことを嬉しく思う。
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閲覧ありがとうございました。
今回の記事はいつもと毛色が違って、仕事について書き連ねることになった。自分の行動を整理するのが主な目的ですが、どこかの読み手にとって興味深いものであれば嬉しいです。