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福岡移住日記#156日目 これ描いて死ね

あてもなくふらついていた本屋で、良いマンガに出会った。マンガを作るマンガ「これ描いて死ね」。想像力をかき立てられるタイトルだ。

[舞台は東京から離れた離島。そこで暮らすマンガ好きの女子高生が、創作物の即売会(要はコミティア)に参加したことをきっかけに、自分もマンガを描きたいと決意するところから物語が始まる。

この作品では主人公の熱量が惜しみなく表現されている。まだまだ下手だけど描きたくて描きたくて仕方ない。自分の内にあるものを表現したくて、がむしゃらにペンを走らせる。その情熱がストーリーを通してビリビリ伝わってくる。こういう情熱に触れると、自分の中から再び情熱が湧いてくるようで、すごく幸せな気持ちになる。

主人公は自由な感性とあふれる情熱の持ち主。別に登場する友人は主人公の作る物語が好きで絵が得意。主人公が作った下書きを再構成して絵を完成させる。もうひとりの友人はマンガを読むことが好きでいろんな作品を知っていて、仲も良いから主人公の描いたものに屈託のない感想を伝えられる。この3人の関係は、創作において大事なことを暗に伝えている気がする。

・誰にも邪魔されずに発想を自由に広げる思考
・↑を全面的に肯定しつつ、理性的な見直し
・創作とは別の位置にある読者の目線

これはマンガに限らず、あらゆる創作に共通するのではないだろうか。独りよがりにならないために第三者の視点は大切だし、自分の表現したいことを後押ししてくれる存在も大事。

マンガを作るマンガでいうとバクマンが有名だ。だがバクマンが商業誌連載をテーマにしている一方で「これ描いて死ね」は、産みの苦しみや喜びなど、もう少し抽象的なテーマを扱っている。だからこそ、マンガじゃなくて文章で表現する僕にも刺さる部分がある。

創作はしんどい。うまくできなくて悩むことなんてしょっちゅうだし、自分の実力と向き合うのは苦しい。インターネットがあれば気軽に多くの人に見てもらえる一方、肥大化する承認欲求にも立ち向かわないといけない。
けれども創作をやめないのは、誰かに言われなくても表現したいことがあるから、表現せずにはいられないから。
そんな創作の原点が、このマンガでは丁寧に描かれている。

同じように感想書いている方を見つけたので。


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