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何故、読書が愉しいか。

ヒリヒリする。
電車の中の読書で、戦乱の時代を感じる。
活字の中にある、エンターテイメント。
令和にいながらに、頭にあるのは、
天下分け目の戦いがもうすぐ火蓋を切る空気感。
知っているのだ、読む側は。
大津城の戦いがキーワードであることを。
主人公がその戦いのさなかにいる。

ターミナル駅について、
乗客と改札へ向かう中に、
閉じた本の途中にでた
鳥居元忠の名を思い浮かべていた
大河ドラマで人柄のよい気質の武将だった。
愛する妻と死闘を繰り広げる場面は覚えている。
そこに、主人公の父親がいた。
血のつながっていない父であり、
師匠でもある彼は、
この時代の矛と盾の盾の頂点にいて、
敗北する城で、矛である鉄砲の進化を
息子に託そうとしていた。

ヒリヒリする。
矛と盾は平和を願いながら進化する。
ページをめくりながら
令和につながる、
現実の戦争とつながる部分が重なり、
多重構造になっていく。

読書は。
読書は。
このヒリヒリは誰にも見えない。
私さえも見えないが、
電車ではない場所であるし、
ターミナル駅でもないし、
ましてや物語に身を置いているわけでもない。
だが、愉しく
ただ、愉しく文字を追う。

歴史を描く作品は、
大河ドラマの役者さんの顔が浮かぶことがある
映像化されている作品は場面が浮かぶ
文字を追いながら映像を思い浮かべ、
時には何も考えず、ヒリヒリする。

ものがたりは、決戦へ向かう。
それは、日常の中の愉しみになっている。


※『塞王の楯』読書中の覚書



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