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寓話

なんてことないんだけど、と

乗り越えられる障壁。

歩いている道の目指す場所が

光輝いているとは限らない。


障壁を乗り越える方法については

あまりにも実例が多くて

なんてことなくなっているのだろうね。

本人には苦しいのに

あの人も乗り越えたし、

わりと簡単だと言われているし、

やってみれば造作もないことも多いのだ。


なんとか乗り越えた障壁の先が

光り輝いているなんて最初から思ってはいない。

次の悲劇が待ち受けている可能性も

あり得るのだけどとりあえず見ないふり。

新しい障壁が休む間もなくやってきて、

悩むよりも乗り越える方法を考え実行し、

消費するのは時間なのか、生命なのか、

それはただただ、塵となり、

歴史の栄養にでもなっているかもしれない。


寓話、乗り越えてきた人々、

本人は苦しい、だが過去になる

背後の轍が障壁を乗り越える辛さの緩和剤、

もしくは先達が刻んだ実用的なテクニック

同じ道をゆく者は、

アレンジしながら後ろを歩く者に

与える側になっているという仕組みのことを

本人は決して意識していない。


寓話、「たとえ話」に傷を癒やすのは、

もはやテクニックでもある。

意味を考え、言葉にしてわかりやすく解釈し、

自分に当て嵌めてみる作業に対しても、

これが私だというところに落とし込む。

本人にとっては、

激しい向かい風に抗いながら

障壁を乗り越え進んでいくことになる

他の選択肢は思いつかないのだから。





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