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コツコツと1秒と回想録

床に小さな紙くずが落ちていたので、立ち止まって屈んで拾って、ゴミ箱に捨てた。夕ごはんをつくろうとしていたので、後から拾うのもありだけど、「後から」というのは、「忙しいからもっと後から」にすぐ差し替えられる。小さな紙くずだから、誰も気づかないかもしれないが、気づいたのだから、捨てておく。

夕ごはんをつくっていると、洗い場の排水溝にゴミがたまる。ゴミ受けをはずして、ゴミ箱に捨てると、小さな野菜くずが床に落ちた。火を止めて、野菜くずを拾う。夕ごはんづくりには時間の余裕がある。煮物の火を止めないでいいのでは、という考えもあるが、火をかけながら野菜を切れても、野菜を切りながら煮物を意識しながら、野菜くずをひらう自信が私にはなかった。火を消し忘れて、家が燃えてご近所に迷惑は絶対にかけたくない、なんてね。

でも味付けや食材のセレクト、焼き加減、煮加減。本気でこだわる。美味しい料理にしたいから。入れすぎない、少なすぎない。そんなことも集中力がいる。誰にだって心当たりがあるはずだ「入れすぎ」「焼きすぎ」「煮すぎ」でイメージ通りに料理ができなかったこと。大きな問題じゃないのはわかっているけど、止めるタイミングのために、集中力を持ちつつ、でも食べるときのことを考えて料理をするのだ。

誰にでもできそうで、案外簡単で、でも失敗しないようにする。それは成功するための、積み重ね。床の紙くずが集中力を削ぐかもしれないし、野菜くずが落ちているのをみると、拾っておけばよかったという、小さな後悔が後々やってくるかもしれないのだから。考えすぎ?いや、違う、考えすぎて、落ち込むほど、考えるつもりはないけど、考えるのは自由だ。翼をはためかせて考えればいい。考えたから、日常は安寧に維持され、滞りなく眠れる可能性はグンとあがるはず。

炊き込みご飯をしかけた炊飯釜が、湯気をたてはじめたけど、もうすこし時間がかかりそうだ。おかずもできたし、少し休憩。昨日3ページ読んだ小説を読んでみよう。ここしばらく忙しくて読めなかったから、3ページ進んだのは嬉しいことなのだ。今日で5日目のミニ読書。これから読むのがワクワクする。

ご飯を食べたら、昨日少しだけ進んだモーショングラフィックスの作成をお風呂が湧くまでやってみよう。昨日の成果を見るのも楽しみ。今日の成果を明日見るのもきっと楽しみになるはずだ。だから、わずかな時間だけどやってみたくて仕方がない。

休憩も必要だな。少しコーヒータイム。

床に紙くずも野菜くずもなくて、美味しいごはんがあって、読書ができて、趣味も少し進んだ。いろいろ、想い出してみる。

明日はどんな時間になるかわからないけど、コツコツ進もうかな。


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