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【学習とは一体なにか②】ピアジェの構成主義について
今回は、「構成主義」の学習理論について紹介していきたいと思います。
個人の学習を成立させる学習論として、大きく3つの考え方がこれまでに提示されてきました。いずれも「発達」の捉え方の違いが理論を規定していると考えられ、「知識」の定義によって変遷をしてきました。
前回、紹介した「行動主義」は「発達」を「知識の量」と捉えていました。1980年代に入ると、知識は普遍的なものではなく、変わっていくものであるという考えに変わってきました。つまり、社会という共同体の中で「真」とされたものが「知識」である、という知識間に変遷していくことになります。
構成主義とは
構成主義は、知識を「一人ひとりが自ら構成するもの」と定義しています。そのため、物事の理解の仕方における「質的変化」を「発達」と捉えています。学習者は教師から一方的に知識を教え込まれるのではなく、学習対象を見て能動的に理解を組み立て、学習プロセスの中で多くの質的変化が生じることを学習としています。端的に言うと「概念変換」の理論とも言えます。
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代表的な理論家:ピアジェ
構成主義の代表的な理論家として、ピアジェが挙げられます。ピアジェは「発達」を学び方の質的変化であり、年齢とともに発達すると考えていました。また、学習者が学習対象という「本物」を見て、能動的に知識を構築していくという学習感を持っていました。
同化と調整
ピアジェの発達理論の概念の中には、「同化」と「調整」というものがあります。
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「同化」とは、学習者が持つ既存の概念によって現実社会での現象を理解していく過程のことです。「調整」とは、自分が持っている概念では現象を説明できなくなったときに、概念そのものが変化していく過程のことです。つまり、学習対象に学習者が能動的に働きかけ(同化)、自分の考えや概念を更新していく(調整)ことを学習と捉えているのが、この理論の特徴
例えば、形の異なる2つの容器を見て、体積が大きいのはどちらの容器かという課題があったとします。同化によって水位が高いほうが体積が大きいという概念を持っていた児童生徒は、左のビーカーと予想するでしょう。
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そこで、実際に2つの容器の水を同じ大きさの容器に移し替えて容量を測ります。すると、2つの容器も同じ体積であることがわかります。水位が高いほうが体積が大きいという概念では現象を説明できなくなり、調整を行って概念変化が起こります。
構成主義の疑問点
ピアジェを代表する構成主義では、学習者自身が学習対象を能動的に学び、知識を構成することを前提にしています。しかし、すべての学習対象を学習者ひとりで学ぶことはできるのでしょうか。また、この理論を学校現場に持ち込もうとすると、学習者は一人で対象の理解に挑むことになり、教師の意義や役割が組み込まれていません。
このピアジェの学習理論を批判し、新たな学習理論を提案したのが「ヴィゴツキー」であり、現代の学校教育の中心とも言える理論です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
構成主義が台頭する前に普及した学習理論が「行動主義」です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。