2023年の仕事はじめ。
やはり雪かきから始まる仕事はじめでした。
気持ちを切り替えてしっかり目の前の仕事に集中はできましたが、やはり気を抜くといろいろと先の事など考えてしまいますね。
ただ、介護現場の将来の事なので、今現在所属している組織も介護事業を展開しているわけですから、まったく関係のない事でもないのでいろいろ考えてた事を整理してみようと思います。
これから介護の業界がどうなるのか、まずはっきりしているのは人手不足です。
今までと同じ体制や同じシステムで、今までと同じ事は継続できないという事です。
これは既にだいぶ前から分かり切っていた事ですが、大きな法人で何十か所も事業所がある法人に所属し、それなりに多くの事業所を自分が管理者としてとか広域マネージャーとしてマネジメントしてきて実際に見てきた感覚で物を言うと、この事がどのくらい危機的な状況なのかちゃんと理解して準備している人が、経営層にも現場のレベルにもほとんど居ないという事です。
これが当法人だけの状況ならまだいいのですが、果たしてどうでしょう。
そこに危機感も、起業独立の時期を早めた理由の一つです。
人手が更に足りなくなる現時点で、既に人手不足は深刻ですので何とか人材を確保しようと紹介業者等にかなりの紹介料を支払って確保しています。
・・・が、なんという事でしょう・・・当法人だけでいうと、採用した人数よりも退職した人数の方が多いんですよ、しかもここ数年です。
その上で、なんとか人材は確保しようとするので予算を作るときは理想的な人員体制の配置で人件費を組みますので、経営結果を見ると毎月人件費は数百万円の規模で予算未達の状態です。
じゃあその分利益が出ているのか・・・というと収益は全く予算に届いていません。本当にヤバいです。
これが複数年度に渡って継続している状態です。
コロナ禍だから、という分析を経営層や現場レベルでもしていますが、それは違うと思っています。
コロナ禍でも利用者を増やしている介護事業所はあります。
その工夫が全くできていない状況がコロナ以降続いていて、組織として変革できないままここまで来てしまっている状態です。
現場レベルで見ると、どう考えても今まで通りの事を今まで通りの体制や人員数では出来ないのは明らかですが、それを理解してもらえない状況です。
説明しても理解したくないのか本当に理解できないのか、人手が足りないという反発に合う管理者・リーダーが多いです。
これはもう経営側がとか現場が・・・とかいう事ではなくて、双方両輪で変革していかないとダメだと思っています。
その準備を進めているのか、備えているのか・・・という事が本当に問題だと思っています。
結局、このままだと厚労省や国が進めたがっているようなICT導入による業務効率化による人員基準緩和の方向になっていってしまいます。
この状態のままそうなってしまうと本当に介護の質がどうなるのか不安しかありません。
そして、もっと深刻だと思っているのがこの人材不足の中で介護職の処遇は上がっているという事です。
介護現場の声からは、介護の現場に生産性という考え方を持ち込んで欲しくない、という意見をよく聞きます。
言いたい事はよくわかります、本来はそんな事とは無縁で目の前の必要なケアに集中したいですよね。丁寧に対応したいですよね。当然です。
しかし、もうそんなことを言ってられる状況ではなく、否応なく生産性を求められてしまうという事です。
今までよりも質の高いケア(自立支援や個別ケア)を今までよりも少ない人員でやらないといけなくなる事は必至です。
そのための処遇改善だったりLIFEの導入だと思っています。
もう10数年前から介護業界の人材不足への警鐘は鳴らされてきました。
ただでさえ人気のない介護現場に入職してきた職員をどこまで真剣に育成してきたか。正しい指導方法で育成したのか。いきなり現場に放り込んでダメ出しばっかりなんてしてないでしょうが、残念ながら僕の目の届く範囲の事業所ではまだそんな事をしている所がありました。
なので、せめて退職する3月末までに、そこをきちんと修正しておかないといけないと思っています。
ですので、今からでもちゃんとしておかないといけないのは、40代以下の世代の介護職をしっかりと育てておく事だと思っています。
個人的には、30~35歳くらいが一番仕事面では成長できる時期だと思っていますので、その時期に適切にハードルを越える体験をしてもらって、しっかりと指導育成が出来るリーダーとして育ってもらう必要があると思いますし、手順やマニュアルという事ではなく、もっと根本的な理念やなぜそうなのか、という部分をきちんと伝達していかないといけないと考えています。
たとえば、身体拘束や虐待など、こういうケースは身体拘束です、とか虐待に該当します、という例示がされていますが、なぜそうなのか・・・という部分が重要で、ベッド柵が何本ならOKとか、そんな事ではないと思っています。理由や原理原則が理解できてないとやはり応用がききませんし、人生を支える介護の仕事は応用の連続ですから、”なぜ”という部分を正しく伝えていける介護職を育てていく必要があると思います。
そして、それは尊厳や基本的人権を守る事に繋がっていきますので、これからどんどんと人手が足りなくなる状況で、より個別性が高く要求の範囲も広くなり権利を侵害しないような対応が介護の現場に求められてくるという事ですので、本当にこれから現場を支える介護職は高い能力と人間性が求められるという事だと思っています。
振り返ってみると介護業界はどうしてきたかというと、例えばデイサービスの基本報酬が大きく引き下げられた介護報酬改定の時期に、国や厚労省が何といっていたかというと、他産業と比べても利益率の高い事業の基本報酬を適正化する、と言っていたと記憶しています。あくまで記憶なので記憶違いの可能性もありますけど、それだけ利益率が高かった時に事業者は何をしていたのでしょうか。人材育成や定着のための職場環境改善への投資などしていたかどうかが問われると思っています。
また、デイサービスの機能訓練の加算で(旧)個別機能訓練Ⅱという加算があったのですが、加算の内容は身体機能の改善や生活上のやりたい事や出来る事を増やせるような素晴らしい内容だったのですが、結局その加算の趣旨を理解せずに形(書類)だけ整えて実態が伴わない訓練の実施で算定をする事業所が多く(個別機能訓練Ⅰという加算もあって、そちらよりも単位が高く算定要件も資格体制の要件もハードルが低かった・・・)、厚労省もさすがに切れて前回の報酬改定の際に無くなりました。
ちゃんと素晴らしい取り組みをして生活改善などに繋げていた事業所もあったのに、多くの事業所が加算の趣旨を理解せず、加算で求められている訓練内容を実施せず、集団指導でも何度も要件について説明がされていたのにも関わらず対応しきれなかった事実があります。
要支援の制度ができて、運動器機能向上加算という加算が新設された時も、厚労省は介護予防マニュアルというものを配信して、その中で運動器機能向上訓練のサンプルや取り組み方など紹介していたのですが、これの存在をしっている管理者・リーダーや機能訓練指導員に会った事がなく、資料の内容は、結構面白い内容だし勉強にもなる資料なのに本当にもったいない事をしてきたと思っています。
結局、介護事業所も現場もそういう事を続けてきたわけで、ちゃんとやるべき事をやった上でここまで来たわけではないのですから、本当に腹をくくって取り組まないといけない問題だと思っています。
そこに自分なりにぶつかっていくためにも、自分の会社を立ち上げて、もう言い訳も出来ない状況にして、自分なりにこういった課題にぶつかっていきたいと思い、そこを一緒に乗り越えてくれそうな仲間にも恵まれたので、今年はしっかりと頑張っていきたいと思いましたし、自分なりに介護の現場と生産性のバランスをどう工夫するかというのは、大きな組織では不可能だと思ったので、いろいろとチャレンジしたり失敗を重ねてヒントを得たりして、経営を成り立たせつつ、介護職が今までよりも少ない人員で同じ時間で今まで以上に仕事をこなせるような仕組みづくりや実践をして、そこで頑張って成果を出した介護職やそれを適切にフォローした職員が満足できるような処遇を提供できるような経営をしていきたいと思っていますし、そこをしっかり評価する事が非常に重要だと思っています。
・・・と偉そうに書いてますが、何をどうするかはさっぱりなんですけどね・・・。
3月末までの間にしっかりと悩み抜いてイメージしまくっていきたいと思います。
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