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処遇改善策について。

介護職員の給与を9000円アップする政策が話題になりましたが、制度設計の流れをみていると、それぞれの事業所に配分の裁量があるみたいなので、実質そのまま9000円収入があがる介護職員は少ないんじゃないかと思います。

特定処遇改善加算の時もそうでしたが、制度が出た時は国もちゃんと介護事業の将来を見据えて対策を打ってきたな、と思ったんですが、結局加算で得た処遇改善分の収入をどのように職員に分配するかは事業所任せになって、当初国が目指していたリーダー級の介護職の年収を400万以上にするという目的はうやむやになった感じでしたが、今回も同じような感じになりそうですね。

僕は介護職の収入が増える事には大賛成ですし、全員がホクホクできるのが1番良いと思っています。当然、その他の職種でも全国平均より低い年収の人の所得が増える事には賛成です。

ただ、国は社会保障費を削減する方向で動いてきた事を考えると、どう考えても介護職員全員の収入を上げる事は不可能です。限りある財源をどう配分するかの話なので、介護職の中でも、経験者もいれば新人もいるし、有資格者もいれば無資格の方もいます。介護現場で働いているケアマネさんもいれば、今回の処遇改善の枠外になる居宅のケアマネさんもいるし、その処遇改善の申請手続きをする実務を担うのは対象外の事務員さんです。

これはもう国のやり方が間違ってると思います。
なんで事業所の裁量で配分できるようにするのか。
そんな事をしたら配分されない職員の不満は事業所に向くじゃないですか。
この加算はこういう制度だから、介護職にしか配分できません。リーダーにしか配分できませんと国がルールを示して導入すれば不満の矛先は国に向くと思うんですよ。
そういった不満を真正面から受け止めて今後の政策に生かしていくのが政治なんではないかと思うんですが、そうではないので困るのは事業所ですよ。

会社だってみんなのお給料は上げたいに決まってるじゃないですか。だけど限られた収入を全員に均等に配分すればどうなるかは簡単に考えても変な事になるのは目に見えています。それはそれで不満が出るはずです。
うちの会社は、ペーパーレスとかデジタル化にはぜんぜん手を出してくれないのですが、こういった処遇改善の加算配分については、ほとんど均等に対象外の職種にも配分しています。
その結果どうなってるかというと、うちの会社は他の会社より処遇改善の額が低い!給料が低い!と、どの層の職員からも不満の声しかでてません・・・。

きっと他の会社は経験年数やリーダー層とかで配分率を分けたり、対象外の職種には配分しないので、より介護職へ手厚く配分できるのだと思いますし、おそらく技能評価なども連動していて職員それぞれに差別化して配分していると思います。
だから額面だけの差をみたら大きく見えるかもしれませんが、自分がその会社に移っても同じ額の手当がもらえるかどうかはわからないと思います。
なんにしても均等に配分している当法人では不満ばかりで退職も相次いでいます。

特にリーダー層は厳しいです。
うちの会社で経験積んで頑張ってリーダー層になっても給与面で評価されにくいし、他の会社の同じ役職より明らかに安い給料だとわかればモチベーションは下がりますよね。若いリーダー層が退職してしまうのは当然の流れのように感じています。
この先5年10年頑張ってもこの会社で働き続けるより他の会社の方が評価してくれる、となれば定着は難しいですよね。それが力量のある職員なら尚更だと思います。

その上、うちの会社は対象外の職種に持ち出しで処遇改善をしているので、経営的には結果が出てません。
数千万円規模で予算未達です。やばいと思います。

繰り返しますが、処遇は引き上げるべきと思いますが、どの職種の処遇を改善しても、うちも大変なんだ、こっちも頑張ってるのに、となるに決まってるんですから、そこは国が腹を括って国の責任で不平不満を最後まで受け止める覚悟で制度設計してほしいと思いました。

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