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これからの介護保険268 認知症の有病率低下 予防に向けた施策のさらなる強化を・・・という記事の紹介です。

わが国では高齢化に伴い認知症患者の数が急増している。一方で、今年取りまとめられた国の調査では、生活習慣の改善などにより、軽度認知障害(MCI)から認知症への症状の進行が緩やかになっている可能性が指摘された。新規治療薬の開発が進む中、エビデンスに基づくさらなる施策の推進が欠かせない。

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ちょっと意外な内容でした。
軽度認知症害から認知症になる人の数が減っているという事です。
認知症に対する理解や知識が広がっている事が理由だとは思うのですが、どんどん認知症の方が増えていく一方だと思っていたので、効果的なアプローチがあるのであれば、しっかり力を入れてもらいたいですね。
かなり今後の状況を左右する重要なポイントだと思いました。

厚労省の調査によると、2012年時点での日本の認知症患者数は約462万人、65歳以上の認知症有病率は15%と推計され、25年には約600~700万人に達すると見込まれていた。

しかし近年、世界的に認知症患者が増加する中、教育環境の整備や生活習慣の見直しなど、リスク要因への介入により、日本の将来的な認知症患者の増加率が他国と比べて比較的低いとの報告がなされた。これにより、認知症患者の数が国や自治体の施策によって影響を受ける可能性が示唆された。

今年まとめられた国の老人保健健康増進等事業「認知症および軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」では、福岡県久山町、石川県中島町、愛媛県中山町、島根県海士町の4地域での調査結果を基に、22年の認知症有病率は12.3%と報告され、12年に厚労省が報告した認知症有病率15%を下回った。また、今回の軽度認知障害(MCI)の有病率は15.5%であった。

これらの有病率を基にした50年の日本の認知症者数は約587万人とされ、12年時点の推計値より約3~4割少ない結果となった。一方、今回の調査では、MCIと認知症を併せた有病率は27.8%(MCI15.5%+認知症12.3%)であり、12年時点推計の28.0%(MCI13.0%+認知症15.0%)と比較して大きな変化は見られなかった。この結果から、認知症患者の割合が減少した背景には、MCIから認知症へ進展する人が減少した可能性が指摘されている。

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当初の見込みでは、来年には600~700万人の方が認知症になる予測でしたが、最新の見込みでは、2050年で587万人という事で、2025年で700万人という予測が2050年で587万人という状況になっているようです。

中でも認知症患者の割合が減少しているという事で、軽度認知症害の状態から悪化させない取り組みが功を奏している状況のように見えます。

その要因として、近年、健康に関する情報や教育の普及により健康意識が高まっていることが挙げられている。また、喫煙率の低下や治療法の進歩により、中高年期の糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が改善され、認知機能低下の進行が抑制された可能性も示唆されている。

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こういう事なんですよね。
医療や介護だけを見ていても社会保障費用の削減にはつながらないというか、トータルでの生活環境を整えないとそういう費用の削減にはつながらないんですけど、特に財務省はこのあたりの予算を減らしたがるんですよね。
国の方針が社会保障費用の抑制ですから仕方ないのですが、高齢者が増えるので増えるのはどうしようもないと思います。

19年に策定された認知症施策推進大綱では、団塊の世代が75歳以上となる25年までを対象とし、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、「共生」と「予防」を両輪とした施策の推進が掲げられた。ここでの「予防」とは、「認知症にならない」という意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味を持つ。

 その観点から、認知症発症を遅らせる可能性がある運動不足の改善、糖尿病や高血圧など生活習慣病の予防、社会参加による社会的孤立の解消に関するエビデンスの収集・普及、そして地域における「通いの場」での活動の推進に重点が置かれた。

 しかし、達成目標に掲げられた「通いの場への参加率8%」は、新型コロナウイルス流行の影響もあり、21年時点で4.8%にとどまり、「成人の週1回以上のスポーツ実施率70%」も昨年の時点で52.3%と道半ばにある。

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それでも地域で認知症カフェや集いの場を頑張っている自治体はあって、僕もいろいろ北海道を転々としてきましたが、定期的に各地域に出向いて通いの場を開設して地域包括の職員さんが頑張って啓もう活動していました。
僕も微力ながらお手伝いさせてもらいましたが、少ない数でしたけど、何人かの地域の方が参加されていました。

そういう地道な取り組みの結果が実っているようにも感じますし、医療によるアプローチや、ご家族の理解が進んでいる事も大きいと思いますし、認知症の方ご本人の思い等が発信できる環境も整ってきている事もあるんじゃないかなぁと思いました。

 認知症のリスク因子に関するエビデンスは集積されつつある。近年、喫煙や運動不足、難聴、教育期間の短さなどが発症のリスクに挙げられ、それらの因子を取り除くことでおよそ3割の発症が予防できるとの報告がされた。

 特に難聴は、中年期に介入することで約1割の発症予防につながるとされ、その効果は大きい。一方で、現在日本には約1400万人の難聴をもつ人がいるが、そのうち補聴器を使っている人は、およそ200万人に留まる。

 長年の認知症施策の効果は表れつつある。新しい治療薬への期待は高まるが、高額で適応が限られる現状では、発症予防と進行の抑制が欠かせない。介入の余地は大きく残されており、今後もさらなる施策の後押しが求められる。

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そういう意味では、要支援やそうなる前の段階の方への適切なサービスの提供は効果ありそうなんですけど、財務省はそこをやめなさい、という方向で意見出してますもんね。

人との交流の機会が減ったり、運動する機会が減るのは本当に認知症になるリスクを高めますので、このあたり早期に解決できる対策ができれば、認知症の方をできるだけ増やさないという方向性にも合致するとは思うのですが、どんどん介護保険制度は、認知症になってしまってから、何もできなくなってしまってからの介護に重点を置く感じになってきているので、そうじゃなくて予防の方向で頑張らないと、ただでさえ人手不足なのにどうするつもりなんだろう、と思ってしまいます。

とはいっても、僕らはそういう生活全般に介護が必要になる前の段階の方へのサービス提供が多い状況(要支援の方へのサービス提供が全体の8割)ですので、予防についてはこれからもしっかりと勉強して、少しでも症状が重篤化しないような取り組みを進めていきたいと改めて思いました。


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