介護の役職。
『役職なんて就きたくない』『現場がいいです』
介護現場でリーダーや役職に就こうとする職員は、本当に少ないです。
なぜか・・・、面倒な仕事が増えるからです。
僕も常々”役職を解いてほしい”と上司には訴え続けてきたくらいなので本当に面倒な仕事だと思います。
これは介護に限らず全ての業種で役職者は責任もあるし大変だと思います。
それは、現場での大変さとの質が全然違うので、比較する事自体に無理があります。
現場は現場で大変だし、役職は役職で大変です。
ただ、役職者のつらい所は、”誰も手伝ってくれない””役職者にしかできない仕事”があるという事かな、と思います。
現場で欠員が出たりトラブルが発生したら、役職者やリーダーは現場のフォローに入ります。特に介護職場は現場あがりの役職・リーダーが多いと思いますので、何かあれば役職・リーダーがフォローできます。
しかし、役職・リーダーの代わりってほとんど居ないんですよね。
複数リーダーが配置されているような大規模な事業所は別ですが、ほとんどの事業所に役職やリーダーは1人くらいじゃないでしょうか。
現場のフォローはできるけど、自分のフォローは誰もしてくれないのが介護現場の役職者やリーダーだと思います。
少なくとも僕自身がそういう立場です。
なので、僕自身がそうなんですけど、よほどの事がない限り現場へのフォローには入りません。
あえて現場のメンバーがどう動くのかを見たり、この程度の状況なら”僕なら一人でも対処できる”と判断した状況には介入しません。
それを見て不満に思う現場職員もいるようですが、なんでも間でも上司が手伝っていては現場のレベルアップにもならないし、多少の過酷な状況が大きな成長を促すきっかけにもなるので、そのあたりを見極めながら自分の仕事をしています。
本当は書類の仕事や数字の仕事なんてしたくはないんです、介護の仕事をしたくて介護職を選んだんですから、利用者さんとの交流や対応を常にやってたいのが本音です。
ただ、介護事業も経営をしっかりしないと倒産したり廃業したりするわけで、事業所の経営を守るという役割は、現場の職員には遠くてわかりにくい役割かもしれませんが、その現場自体の存続を左右する重要な仕事です。
僕のような中間管理職は、さらに上の上司からは単価を上げろ、加算を取れ、稼働率を上げろ、予算を達成せよ・・・等々、もう数字の事ばっかり言われるわけです。最近は感染対策も含めて多種多様な支持が飛んできますし、その都度対処しなければなりません。
会社のかじ取りの中で、末端といえど各事業所からの報連相の遅れは全体の機動性を損なうので非常に期日がタイトな課題を強いられる事が多いです。
単価なんてそう簡単にあげれませんよ。
要介護1が多い、もっと重度の人を受けろ。と言われてもですね・・・。
この加算を取ったらこのくらいの単価にならないか、なぜ取れないんだ。
・・・その加算を取るにはですね、これこれこの書類が必要で、到底うちの現場の書類処理能力ではコンプライアンスが守れません。残業が増大して加算で得た利益が残業代で飛ぶだけです・・・。
あっちの事業所ではこの加算を取っている、同じようにやればとれるだろ。
サービス提供時間を見直して・・・云々・・・。
言いたい気持ちは僕もわかりますが、そんなのは年度が始まる前の予算組みの段階でやっといてくださいよ。と心の中で反論しますが、できないものはできないので、それはこうこうこういう理由で今はできません、と返答します。
特に今は来年度予算も作っている最中なので、そのあたりの精査もしたかったんですが、もう別の事業所に異動になるので、いなくなる事業所にあらたな加算や過酷な稼働率の予算を組むわけにもいかず、そういう苦労の時期に突入しています。
あぁ、頭が痛い・・・。
そうです、申し訳ないですが現場に関わっている時間も惜しい状況ですが、同居家族が濃厚接触者になった。子供が発熱した等々で、実際は体制にも入らないと現場が回らない状況でもあります。
そんなわけで役職・リーダーともなると現場以外の仕事が増えてやりたくない人が多いわけですが、僕がなぜ続けてこられたかというと、自分のやりたい事をやれるのが役職・リーダーだからです。
この旨味以外に僕が管理者をやっている理由はありません。
介護の現場には、いろいろな職員がいます。
そして残念ながら介護の現場では指揮命令系統があってないようなチームが多いです。
組織図だけ見ると単純なんです。
リーダー > メンバー
ですから。
しかし、実際はたぶんこんなチームが多いのではないでしょうか。
リーダー > メンバー
一部のベテランメンバー > メンバー
役職にはなりたくないけど、チーム内で言いたい事は言って自分の好きなようにチームを動かしたい人が残念ながら多くのチームに1~2名ほど居るように思います。完全に僕のこれまでの経験上のアバウトな感覚ですけど。
責任は取りたくない、自分は動きたくない、口だけ動かしてメンバーを動かして自分のやりたくない仕事からは距離をとる一部のベテランメンバーさん。
リーダーもよほど現場を見ていないとその実態にはなかなか気が付かなかったりします。
そして、そういう一部の方々はその職場は働きやすいのでなかなかその職場から動きませんが、そういう状況に嫌気のさす若手や新人は動いてしまって悪循環が生まれてしまいます。
そういうのが嫌だったので、僕自身は自分がリーダーになって、自分のやりたい方向に向けないそういう一部の職員には出て行ってもらうようにしてきました。それが長い目でみるとチーム運営にはよかったと思っています。
そういう事ができるのが、唯一その職場のトップの役職・リーダーですので、自分なりのチームづくりや、自分なりのケアの追及をチームレベルでやりたい人は、是非頑張って職場のトップを目指してください。
現場では一対一でのケアの追及でスキルを磨けます。
それはそれですごくいいことです。
リーダーになれば、自分の理念や介護観を職員に伝播させる事で、チーム全体を底上げしてより多くの利用者さまに対してよいケアを提供できるようになりますし、そういう成長をメンバーと一緒に味わえる楽しさもあります。
責任は重大で上司と部下に挟まれる大変さもありますし、職員が全員ついてきてくれるわけでもありません、反発もあるし労基法やハラスメントに対する知識をしっかりと持ってないと足元をすくわれる事もあります。
それでも、こんな介護がしたい、という想いがある人には、是非とも役職まで上がってほしいと思います。
そういう想いのある介護職が、しっかりと事業所を導いていく事をしないと介護業界はいつまでたっても閉塞感しかないと思います。
特に若い人の熱意や発想は、これからの時代の変化に対応するために介護業界でも必要な要素だと思っています。