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「生産性向上」という言葉は介護現場になじまない? 審議会で異論 「他の表現を使って」・・・という記事の紹介です。

「生産性向上という言葉を国が何度も繰り返し使っている。介護現場の方々とお話をさせて頂くと、その言葉への拒否感のようなものを強く感じる」

JOINT

僕が経営者の立場だからそう思うのかわかりませんが、僕自身が現場職員だった頃から、業務改善と生産性の向上については意識してきたので、個人的にはあまり違和感は感じません。

現場の職員も一部の職員からは確かに拒否感を感じる反発を受けたことはありますが、多くの職員は理解していたように思います。

介護職員って、あまり自分の意見を公に発信しない傾向があるので、こういう反対や反発の意見って目立って出てくるんですけど、介護業界が公営ではなく民間の企業で競争にさらされる経営の中で、生産性向上を抜きに事業を守る事はできないと思うのは僕だけでしょうか。

現に、介護事業所の倒産や閉鎖は毎年増えていっています。
結局、生産性を高めないとそういう競争に勝てずに淘汰されてしまうわけで、だれも助けてくれないわけです。

そして、その経営を支える収入源の介護保険の報酬は、国が単位を決めて決められたルールの中で出来る工夫しか出来ないわけで、そう考えれば一般企業よりも介護事業者はより経営努力が求められる状況と思っています。

そのうえで人材不足です。
生産性向上ぬきに生き残れないわけで、それは言葉を柔らかくして伝えた所で本質的には何も変わらなくて厳しい現実が待っているわけですから、いいたい事はわかりますけど、介護現場の生産性の向上と面と向かって向き合わないといよいよ生き残れない時代になっているんじゃないかな、と思います。

個人的な意見をもっと言えば、介護職員の処遇改善をもっとすすめるのであれば、生産性向上という処遇改善の原資になる事と真正面から向き合わないといけないと思います。

その言葉は嫌だ、と言っていても自分の職場が無くなってしまうだけだと思います。

「我々はこうした審議会で介護現場を良くするための議論をしているわけだが、それが介護現場の方々の心に響かなければまずいかなと。もう少し文言にもこだわった方が良いのではないか」と指摘した。

JOINT

介護現場を良くするための議論であれば、介護現場が求めている事をもっと掴んでもらった方がよいのでないかと思います。

なぜ介護現場で生産性向上が必要なるかというと、いろいろな側面はあると思いますが、年々減らされる介護報酬と年々減っていく介護職員について、増やせられる目途が全く立たないから、という事じゃないでしょうか。

介護報酬は、国が社会保障費用の削減の方向性を撤廃しない限りは続きますし、人材不足は労働人口がどんどん減る中で他産業の方がお給料もいいので、他産業よりも高い給料を提示できない介護業界で人がこれ以上増える見込みはありません。そして、既に介護現場の多くが職員の高齢化で職員も利用者も高齢の老々介護状態も発生しています。

収入源である介護報酬が減らされ、職員の基本的な給与は定期昇給などでアップするが、高齢化により生産性が低下します。その上で退職した職員の補充もできず現場職員は減っていく一方・・・という状況です。

そして現場では、これまで通りのケアの水準を維持しようとするわけですから必然的に現場職員の生産性向上が求められているのだと思います。

当然、経営的な側面からも生産性向上は必要ですが、それ以上にこれからはこれまでより少ない人員で高い収益を上げないと事業が維持できないからだと思っています。

嫌だといってもどうしようもない段階にきていると思っているんですけど、僕だけでしょうか。

繰り返しになりますけど、これ生産性向上という言葉を別の言葉に置き換えても起こっている事象自体は変わらないし、生産性向上という言葉以上に現場職員が理解しやすい言葉ってちょっと思いつかないんですよね。

そうであれば、なぜそんな意見が現場から出るかをもっと考えた方がいいのではないかと思います。

個人的には、これ以上頑張れないほど頑張っているのに、これ以上頑張れというのか、とか、そういう現場レベルでやる事はやってきたのに、これ以上何をどうすれば生産性向上になるんだ、とか、もっと利用者さんとのコミュニケーションや、もっと介護の専門家として必要なケアを時間をかけて取り組みたいのに、そんな時間も余裕もない、という事があるんじゃないかと思います。

そうであれば、現場職員がもっと自分たちがやりたい仕事に注力できるような制度的な工夫が必要なんじゃないかと思います。

厚生労働省は今回の審議会でも、次の改定の基本的な視点の1つに生産性向上を掲げていた

その意味は、テクノロジーの活用やサービス提供の合理化・最適化などに取り組んで職員の負担軽減、働く環境の改善を実現すること、それによって利用者に対するケアの質を高めていくこと、とされている。

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厚労省が言いたい生産性向上とは、『テクノロジーの活用やサービス提供の合理化・最適化などに取り組んで職員の負担軽減、働く環境の改善を実現する』という事で、今のとこ人間にしかできない部分以外のAIやテクノロジーで代替えできるような仕事を自動化して、現場職員の負担を軽減することで、結果としてケアの質を高める、という事を言いたいようです。

たしかにテクノロジーを活用すれば、現場職員が人間しかできない部分のケアに注力する事はできますし、書類業務や記録が自動化されれば時間的な余裕も生まれて現場で利用者さんと過ごす時間もとれてアセスメントが深まりより精度の高い情報収集が可能になり、それがケアに生かされて質の高いケアにもつながっていくでしょう。

ここ重要で、現場職員が本当に求めているのは”余裕がある事”だと思っています。
多くの現場で見てきましたが、業務改善や生産性向上を目的としてシステムやルールと変えても、そこにできた、せっかく苦労して作った”余裕”の部分に新しい業務を入れてしまって何の改善にもなってない事ばかりが起こりました。

もともと過剰な業務量だった事も理由としてあるでしょう。
しかし、利用者さんの生活の場である事業所内は、やろうと思えばできる事が無限に存在します。ちょっと余裕ができたらやる事なんていくらでもあるので、利用者さんと落ち着いてコミュニケーションをとったりケアに時間をかけられるような状況にはなかなかなりません。

それはなぜか。
現場の職員が少ないのかもしれないし、現場の介護職員がなんでもかんでも専門的な仕事以外でもやらないと現場がまわらなかったり、必要とされる書類や記録が多いという事もあると思います。
中には利用者さんとゆったりコミュニケーションを取っているとサボっていると思われたり評価が下がったりしますし、排泄や入浴のケアも早ければ早い方が評価されてしまう風潮もあります。

(生産性向上という言葉を嫌う割に、オムツ交換を短時間で何人できたとか、入浴を何時間で何人入れたとか、そういう話は現場職員は結構しているような気もして矛盾を感じるわけで)

埼玉県立大学の田中滋理事長は厚労省のYouTubeチャンネルで、次のように解説している

「要介護者が尊厳ある生活を送ることが目標。介護の生産性向上とは介護の価値を高めること。間接業務を減らし、利用者と触れ合う時間を増やすこと」

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『介護の生産性向上とは介護の価値を高めること。間接業務を減らし、利用者と触れ合う時間を増やすこと』

そうなれば本当によいと思いますが、今の介護保険法の内容や特に今後の人員配置基準の緩和の方向性を出している現状を踏まえると、いくらシステムを導入してもこうはならんやろ、と思ってしまうわけです。

現場職員もそこはわかってるから、生産性向上なんて話は聞きたくないんじゃないでしょうか。

介護保険制度が定める人員配置基準の根拠もわかりませんし、その配置基準もICTやデジタル技術の導入ができれば緩和して、現状の配置基準よりも緩和してもよいだろう、なんて方向に動いています。

結局、余裕ができたとしても人が減るわけですから介護の価値を高める所までは届かないと思います。

これがもっと直接介護もできるロボットとか開発されれば話は別ですが、今の所はそうではありませんので。

審議会で石田委員はこうした趣旨を踏まえ、「より分かりやすい『業務改善』という言葉を使えば、介護現場の方々もストンと納得して頂けるのではないか。よりシンパシーを感じて取り組んで頂けるのではないか」と提案した。

JOINT

あー・・・、現場で業務改善をそれなりに推し進めてきた立場で言わせてもらうと、現場職位は業務改善っていう言葉も相当嫌いですよ。

だって、今までやってきた業務を”改善”と称して別の方法に変えるわけですから。

それが正しくて効率がよかったとしても、何の根拠もなくやってきてただけの業務だとしても、自分たちが否定されたような感覚になるので業務改善という言葉はストンと落ちないんじゃないかなぁと思います。

そして、業務改善という言葉がストンと落ちてる現場では、おそらくもうすでにある程度の改善は進んでいて結構いい感じの現場になっているんじゃないかな、と思います。

まぁ、いずれにしても業務改善も生産性向上も、介護現場といえども避けては通れない問題・課題であるという事だとは思います。

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