ちょっと聞いてもいい?扇風機が
農協の外回りは平日。
大体が平日で、共済の提案・契約とか相続対応とかの休日出勤は渉外次第。
平日の日中に訪問する先は、自営業のお客さんを除いてはほとんど高齢者の方だ。
大久保ときさんはご主人の清さんと2人暮らしだったけど、去年あたりからご主人が入院してしまっていて、今は一人暮らしの状態だそうだ。
ご夫婦それぞれのお名前で定期積金(通称:定積/ていつみ)を毎月掛けてもらっていて、今月も2人分のご集金を出していただけた。
「それじゃ、お預かりいたします」
控えの受取書のお渡しも、日報の記入も全て終わり、カバンを持って立とうとした。
すると、ときさんが
「あ、ちょっと聞いてもいい?」
と言いながら、玄関の横のふすまを開けた。
「はい、なんでしょう」
「この扇風機がねぇ、掃除してフタを取ったら、付かなくなっちゃったのよ」
農協の仕事。
うん、農協の渉外の仕事だ。
「あらら、それは大変ですね。ちょっと見てみますね」
・・・・・
簡単にハマった。
「これで大丈夫です」
「あぁ~ありがとー、良かった」
「何かあったら、また何でも言ってください」
「うん、ありがとうね、忙しいのに」
「いえいえ!とんでもない。
忙しくなんて無いです、もう、ヒマでヒマでしょうがなくって・・・」
「まーた、そんな訳はないでしょうに」
たまに、おうちのお困りごとについて、臨機応変に対応することにしている。
というか、そういうお節介は大好きな性分。そして仕事に繋がる事も。
先月も、電話機の調子がおかしいとの会話から、建物更生共済の落雷請求の仕事に繋がったりもした。
必ず解決できなくても、時間が許せば相談を聞く。
まあ、今日みたいな一瞬で解決するパターンはかなり稀だけど・・・。
時間の許す限り、相談とか聞きたい。でも、決まっている仕事が優先。
相談を聞いていて、時間で約束している次の予定に間に合わない事態になったことが多々ある。
最近は、時間の決まった約束や会議があれば、全てをスマホに「OKグーグル」と話しかけ、20~30分前にアラームをセットしている
お客さんは、スマホが鳴ると着信だと思い、その瞬間に気を遣ってくれる。
電話に出るフリとかまではしないけど、
「ありがとうございます。じゃ、また、お伺いします。お邪魔しました」
と言って、次の予定に移行するきっかけになる。
ただ、支店の中でスマホに話しかけていると、皆が笑っているけど。(笑)
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