住宅ローンのチラシが大量に
農協で、農家さんやご親戚以外でも、住宅ローンは組める。
相談も増えてきている。
外回り中、お米の配達に行った佐々川恵子さんの家で、ふいに、
「農協さんって住宅ローンってあるの?」
と聞かれた。
「ありますよ」
「農家じゃなくても借りられるの?」
「そうですね、農協の管轄地域にお住まいで、1万円以上の出資をしていただければ」
「こんど息子がこっちに家を建てるのが決まって」
「おめでとうございます、いつごろのご予定ですか?」
「来年になったら、解体と建築が始まる予定なんだけど」
あと半年。まだ住宅ローンは検討段階のご様子。
速やかにカバンを開け、中の書類を探る。
「いま、チラシを・・・・」しまった!先週でチラシが切れていた。
チラシのストックが切れていたのではなく、チラシの期限が切れてしまっていた。
キャンペーンによるけど、住宅ローンは1か月で金利の改定がある。
1か月前と変わらないときもあれば、0.05%~0.1%の差で上下したりする。
この期限が、毎月の月末じゃなく、10日前後と中途半端なため、チラシの差し替えに気付かないことが多い。
今の金利はうろ覚えだ。このチラシをお見せする訳にはいかない・・・
住宅ローンは特に分母が大きい。万が一、今のキャンペーン金利がこのチラシよりも0.1%上がっていたら、支払う金額のトータルの差は10万を超える可能性もある。
「すみません、今の住宅ローンチラシが手元にないので、今日・明日中にお持ちします」
「今度で良いわよ。近くに通った時にでもポストに入れといてくれる?」
「かしこまりました」
佐々川さんは、今は一人で暮らしている。
息子さんは隣の市のアパートに、妻と子どもとともに暮らしているらしい。
そんな話を聞きながら、カバンから便せんを挟んだA4大のクリップボードを取り出し、大きく
「佐々川様 住宅ローン ご案内 お届け」
と書き、お米の配達伝票と揃えてカバンに入れた。
「日曜日に、本店で住宅ローン相談会を行っていますので、そちらもご利用いただきますと便利だと思います」
「ああ、そうなの。平日は勤めだけど、夜7時くらいには家に帰ってきてるみたいなの」
「そうなんですか。でしたら、予約になりますが、うちの支店で夜間のご相談もできますので、その方が詳しくお話しできそうですかね」
「そうねぇ、でも、とりあえず息子に話してからね」
「そうですね。さっそくチラシをお持ちいたします」
「よろしくね」
金利の一本勝負になると、ネット銀行に圧勝される。
ネット銀行を嫌煙されるお客さんだと、りそな銀行さんとの比較かな。
短い固定期間選択だと、負けてしまうなぁ。
農協としての強みは、外回りとローン担当者との連携、そして、お客さんの農協への信頼度だ。
息子さんご夫婦が、近隣の情報収集によって、農協を選んでいただけるかどうか。
必要書類のご案内やお預かりを、外回りがマメに回ってサポートできるけど、そのメリットは農協で住宅ローンを組むと決めて頂いてからだ。
だから、先に農協で住宅ローンを組まれた近しい知人から、評判を聞いて農協を選んでいただくこともある。
担当地域での住宅ローンの対応は、自分はどうだろうか。