お客さんの前でスマホ操作は見た目悪い
「あした来る?」
お金と伝票と通帳を預かり、その引き換えの受取書をホルダーに入れてお客さんに渡したとき、ノータイムでこう聞かれた。
「明日の午後にお伺いできると思います。ご予定ありますか?」
「明日はお花の集まりで都内に行っちゃうのよ」
70歳もなかばの益川喜代さんは、まだまだ元気で結構お出掛けされる。
「じゃあ、明後日以降の方がいいですね。通帳、すぐ使いますか?」
「ううん、大丈夫よ。じゃあ、あさって来る?」
渉外カバンから手帳を取り出し、開く。
「明後日の午前中は研修が入ってるんで、午後からで大丈夫ですか?」
聞きながらワイシャツのポケットからボールペンを取り、書くスタンバイをする。
「夕方のほうがいいかしら」
「わかりました。5時ごろでよろしいですか」
「5時ね、わかったわ」
「かしこまりました」
手帳の明後日の日の欄の下段に「5:00益川さん」と書きつつ、一言加える。
「その、黄色いホルダーを “引き換え” でお願いします。」
これで良し。
渡した受取書は、通帳のお返しの時に必ずセットで回収しなければならない。
毎月毎月、預かる家々で必ず繰り返し言葉で伝える。
お客さんも忙しい。
通帳をもらうことはお客さんにとって大事だから忘れることは少ない。
でも、自分たちは受取書を回収することが、賞罰に関わるくらい重要なことだ。
約束を忘れないように、日時の記録を大切に扱いつつ、引き換えで受取書を出してもらう事もお伝えする。
できれば、スマホのアラームやスケジュールに入れたい。忘れる可能性が激減するから。
でも、お客さんからの見え方が最悪だ。
かならず手帳に書く。
その印象の良さは比較にならない。