言った言わないの時点で自分の落ち度
言った言わないの言い合いになったら、もうどうしようもない。
おととい、女性部の領収書を届けに行った金井さんちで、奥さんからこう言われた。
「昨日、接骨院でね、お友達の石巻さんが来てて話してたんだけど、農協さんの火災保険が安くなるって、石巻さんちに来ている農協の人が教えてくれて、安くなったんだって」
「おそらく、建更(たてこう)ですね。ざっくりご説明すると、10年とか20年も先の満期を少なくして、代わりに、火災保障は同じで、掛け金が安くなる切り替えができることがあります」
「うちも農協さん入ってたよね?」
このとき、JA共済のタブレット端末(通称:ラブレッツ)があったら、その場で調べ、回答して終わっていたかもしれない。
「いったん持ち帰ってお調べしてきます」
ラブレッツは重さもあるので、常時は持ち歩いていない。
この時は持っていなかった。
2日後。
「こんにちは、農協の江藤です。この間の火災保障のことでお話に伺いました」
「あー!農協さん!で、どう?どれくらいやすくなるの?」
「あっいえ、金井さんのご加入頂いている共済は、満期がある建物更生共済ではなく、掛け捨ての火災共済でしたので、安くはならないんです」
「えー!?どうして?安くなるって言ってたじゃないの!」
ここからは同じ話の繰り返しになった。
そもそも入っているのが建更なのかどうか、その入り口を最初にはっきりとご理解いただける説明をしていなかったから、お客さんの気持ちが先に進んでしまい、誤解と共に期待を抱かせて、そして落胆させてしまった。
「期待をさせてしまって本当に申し訳ありません」
お詫びかねがね現在加入している火災共済の保障をご説明させていただき、丁重に謝罪して帰ってきた。
支店で秋野先輩と話をしたところ、やはり、
「言った言わないの話になったら、もうその時には戻れないから、録音でもしてなけりゃ、証明するのは無理だよね」
と言っていた。
さすがに録音はできない。
せめてできることと言えば、紙に書いて残すことぐらいだ。
それ以前に、加入内容など、確認を取る前に先々の説明をしてしまうのはやめようと反省した。
次からは、その場でケータイから支店に電話して調べてもらうくらいの、臨機応変さをやってみよう。
よく考えたら、その方が時間の効率もいいかもしれない。
顔を何度も見せに行くことも、それはそれで効果が高いのだけれども。
「あら、農協さん、お父さん、今出かけちゃったのよ、大丈夫?」
「大丈夫です、またお伺いします」
「何度も来ていただいて悪いわねぇ」
「いえいえ、何度でも顔を見にきますよ♪」
「こんなお婆あの顔じゃ見てもしょうがないでしょ(笑)」
「いえいえとんでもないっ。それじゃ、また改めてお伺いしまーす」